【d!】85%の敬愛 (ページ14)

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『と、取り敢えず一旦その、私の部屋？でしたっけ？に行きませんか？どんな風になっているか見てみたいです。はは……』

私は2人の耳に届くように少し大きな声でそう言った。煙たい空気に肺を苦しめながらも，なんとか自分の言いたいことを言えた(気がする)。
さっきからぺちゃくちゃぺちゃくちゃうるさい2人も，私の声にようやく気付いた様だ。喧嘩する程仲が良いとはこの事なのだろうか。なんなら私の取り合いというよりも唯喧嘩したいだけだったのでは？言いたいことはそれはもう山程あるのだが，自身のキャッキャウフフ保育士ライフの為に喉の奥にしまっておく。

｢せやなぁ，おいでAちゃん，案内したるわ。あ，ショッピは来なくてええで｣

｢いやー2人きりにさせるとAさんに何が起こるか分からんし俺も行きますよ｣

いがみ合っている2人の真ん中に立った私は、両脇の男共を殴りそうになりながらも鬱さんの案内に従い3人で豪華な廊下を歩んで行った。両手に花？いやいや，両手にストレス。彼等は客人に対していつもこうなのであろうか…。そんなんでよくやっていけたな？
一定の間隔で吊るされたシャンデリアをふと見上げると，当たり前だがその眩しさに目が霞んだ。実家でもよくこうして光源を見て遊んでたなぁ，なんて昔の事を思い出す。幼い頃から夢は変わっていなかったものの，そうして遊んでいた私は今の状況なんて考えもしなかっただろう。元々苦手だったのだ，こういう世界は。唯の死刑囚のような存在が情けなさすぎて泣きそうになる。ショッピさんも鬱さんも，こんな顔しときながら平気で人を殺しているのかな，お家に帰れるかな…
私は次々と悪い方向に走る思考を無理矢理止めて，相変わらず歩くのが速い彼等の後を小走りで追った。

──────

｢なぁ，どうするんや？今まで借金抱えた奴をここに泊まらせるとか1度も無かったやん，ネジ外れたんか？｣

｢まぁそう言うなよトン氏，俺自身まだなんで泊まらせる判断をしたか分かってないんだ｣

甘い香りが漂う部屋。

他の部屋とは比べ物にならない程豪華に飾り付けられたその内装の奥で，2人の男が軽口交じりに話していた。

｢ゾムも気に入っているらしいじゃないか，主導権は我々にあるのだ，もう少し遊んでもいいだろう？｣

｢あんたの遊ぶは可愛いもんじゃないからこっちだって困るんすわ…仕事が増えそうやな｣

Aの個人情報が全て書かれているその紙を見て，二人の男は妖しい笑みを浮かべた。