【d!】85%の敬愛 (ページ2)

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世の裏側で活躍する人々、言わばマフィアや殺し屋と言った職業。

関わりたくない職業ランキング，目を合わせたくない職業ランキング，恋人に成った後別れを切り出しにくい職業ランキング等…
全て共に1位に躍り出るであろうその威圧感や殺伐とした雰囲気が私はあまり好きじゃない。

元々私は都会でも田舎でもないごく普通の住宅街が立ち並ぶ平和な街で暮らしていたのだ。

今まで生活に困ったことは無かったし，人間関係家庭事情共に良好な，幸せな毎日。

このまま私はやりたいことをのんびりとやってのんびりと生涯の幕を閉じるのだろうなんて呑気な事を考えられるくらいには穏やかな時間を過ごしてきた。

｢貴方もいい歳になったんだし，そろそろ自分の夢を追いかけることも視野に入れてみたら？｣

心優しい母親の一言で，私は渋々上京することを決断した。私の夢は保育士。

小さな子が昔から大好きで，よく地元の子供達と鬼ごっこをして遊んでいた。

運動神経はお世辞にも良いとは言えないけれど，幼い子相手なら本気にならずに済む。

昨年保育士になる為の資格を取得して，もう働ける状況ではあるのだが，なにせここ周辺の職場は今までも私が顔を出して来たので見慣れている。

折角なら新しい職場につきたいものだが，面倒臭がりの私は中々踏み込めずにいた。

───で，それを見兼ねた母が私の背中を押してくれた，というわけで。

決まってからは怒涛の如く日々が過ぎていった。
まずは荷物整理。都会の部屋は資金があってもあまり広いところには住めないだろうし私自身狭い部屋でよかったから，持っていく家具は少しだけ。

出発日の前日には今まで付き合ってきた近所の人達にえっさほいさとお祝いされて，名残惜しいが仕方ないと歯を食いしばってお別れをした。

｢でけー…｣

自分の生まれ育った地が自分の中で都会の認識だった為，いざ大都会に足を踏み入れると人波に揉まれ挟まれ押し出されでもはや外国に来た気分になった。

快晴の空に輝く太陽を隠してしまうほどのビルの高さに驚き，地元では安かった物品が倍の値段で売られている事に驚き，全く知らない人に声をかけられ連れていかれそうになることに驚き。

同年代と思われる女の子たちは露出度の高い服を着て逆ナンなるものをしているし，新装オープンの看板が高々と掲げられている店にはギョッとする程の長蛇の列が見えた。

肩身の狭い思いをしながら、私は都会での生活をスタートしたのであった。