空白の少女 (ページ9)

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凪「で？結局なんの話なんだよ」

ここじゃ一番鋭い目つきをしている凪が背もたれに肘をつき、西さんに問いかけた。

そのぞんざいな態度は女王様な西さんに匹敵する。

凪「俺らを全員呼ぶほど大事な話なのかよ」

その一言で西さんの顔つきが変わった。

西さんの視線はただじっとある一定の所に定まっていた。

西さんはただじっと、あたしを射殺すように見つめてくるのだ。

わけがわからずその迫力に、ただ片唾をのむしかない。

西「裏切り者がいるのよ、アタシたちの中に」

重々しい声。迷わずあたしを指す西さん。

西「ソイツ、北のスパイなんじゃないの？」

ミ「あ、あたしが？」

西「そーよ。北に言われてアタシたちの情報ぶんどろうとしてんじゃない？」

驚きで声も出ない。

あたしが北のスパイなはずがない。

でも西さんはふざけてなんかない。目が少しも笑ってない。

ひ「バカ言ってんじゃねえよ、んなことあるわけねえだろ！いー加減にしろよ！」

そんな西さんに誰よりも先に口を開いたのはひなた君だった。

西「ひなた、アンタよっぽどその子に懐いてんのねえ。でもこっちはマジで聞いてんのよ。口出すな」

ひ「っせえ！そっちがミホのこと疑うか…」

与「よせ、ひなた」

与四郎さんが間一髪、ひなた君の口を塞ぐ。

ミ「ひなた君、大丈夫だって。あたし気にしてないから」

ひ「…ちっ」

珍しい舌打ち。これは相当ご立腹のようだ。

西「で？結局どうなのよ。本当のとこはさ」

ミ「どーもこーも、あたしはスパイでも裏切り者でもありません」

西「なら証拠、証拠見せなさいよ」

ミ「証拠もなにも、あたしはそんなんじゃないんですってば」

西「じゃあアンタ、なんでコイツらと一緒にいんのよ。誰かに…あの女に頼まれたとかじゃないの？」

頼まれた？あの女？おいおいオカマ。何を言う。

あたしは好きでここにいるんだ。

なんで疑われなきゃいけないんだ。

ムカムカして言い返しそうになった私よりも先に口を開いたのは人がいた。

あたしの目の前で千里が西さんの椅子をガンと蹴った。

千「いい加減にしろ」

その一言は、この場の全てを黙らせる力があった。

西「まあいいわ。こんなちんちくりんにスパイができるとは思えないし。あの女がこんなちんちくりんに頼むわけないし。」

深く息を吐きながら言う西さんにとりあえずホッとする。

でも…あの女って？