愛を唄おう (ページ13)

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・side銀太ページ13

秒針の音しか聞こえない部屋で、手元のスマホを見つめる。

脇の表情が脳裏をよぎり、胸の奥がざわつく。

脇とAさんが知り合いなんて、知らなかった。知りたくなかった。

こういうの、嫉妬って言うんかな…

「やっぱ俺、だっせぇな…」

俺だけが知ってると思ってた。

子守唄のような声も、鈴のような笑い声も、優しさも。

でも多分、脇の方がもっと知ってる。俺は、学生のAさんを知らない。

どんな人だったんだろう。

きっと優しくて、色んな人から好かれてたんだろうな。

既読がついて、10分後に届いたメッセージ。いつもならすぐに返してくれるのに。

高校時代にあの2人になんかあったのは確実だ。

付き合ってたのか、会ってないから気まずいだけなのかわかんねぇけど…

“Aさん、元気やった？”

少なくとも、脇は好きだったんだろうな。

「あー！めんどくせぇ！」

こんなん俺らしくねぇ。

パンっと両頬を叩き、気合を入れる。

脇がAさんを好きだろうが、過去に何かあろうが、関係ねぇ。

俺は、Aさんが好きだ。

その気持ちが揺らぐ事でもねぇし、このままアタックすればいい。

脇が好きなら、まぁ気まじぃけど正々堂々勝負してやる。

今んとこ俺の方がリードしてるし。多分、Aさんも心開いてくれてっし？

こんな中途半端で諦めるとか、俺じゃねぇよな。

銀太今度の日曜、デート行きませんか?3人で
Aお昼以降で大丈夫ですか?

よし、約束はできた。

後は、俺次第だ。