ある極道のお嬢の話II (ページ10)

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戸狩「いやぁ、小林くん。すまんな、翔のお迎え頼んでしもうて」

小林「大丈夫ですよ、坊ちゃんは俺が1番好きなんで」

あぁ、まずい。

早速2人の間に火花が散っている。

会うたびにお嬢や坊ちゃんの取り合いをするんだよな、この2人。

戸狩「ありがたいけどな、もう俺が預かるわ」

小林「坊ちゃんはまだ俺と遊ぶんで、大丈夫です」

戸狩「久々の親子の再会を邪魔せんといてくれる？」

小林「久々の坊ちゃんとの再会を邪魔しないでください」

まずいぞ、俺如きじゃ2人の仲を取り持つなんて不可能だ。

誰か呼んでくるか？

いや、でも……

俺が動き出す前に、坊ちゃんが声を上げた。

翔「お父さん、ぼく、ゆきちゃんと遊ぶから」

戸狩さんは見事に灰になった。

選ばれた小林の兄貴は、坊ちゃんを肩車すると凄まじいスピードで奥に消えていった。

意気消沈してる戸狩さんの携帯に着信が入る。

戸狩「はい、、、もう、ですか？！はい、、、わかりました。すぐ、伺います」

電話を切ると、戸狩さんは切羽詰まったような表情でこちらを向いた。

戸狩「小峠くん、すぐに天羽さんに知らせてくれるか？もうすぐ生まれるって。俺は翔迎えに行くから。頼んだ」

小峠「っ、はい！」

俺は親っさんところまで走り、電報を伝えた。

すぐに、兄貴数名とカシラ、親っさんを乗せて車を発進させた。

後ろから坊ちゃん達が来ているのを確認しつつ病院へと向かう。

天羽「小峠、安全に急いで行け！」

小峠「はい！」