ある極道のお嬢の話II (ページ6)

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はじめてのおつかいページ6

玄弥「ええか、翔。父ちゃん先にお母ちゃんのとこ行っとくからちゃんとお使いするんやぞ」

翔「うん」

玄弥「よっしゃ、ほんだらもっかい確認しよか」

俺の名前は戸狩玄弥。

可愛い息子にお使いを頼む天王寺組の武闘派極道や。

話は数日前に遡る。

めでたいことに2人目を授かったAは、向こうさんたっての願いで天羽組で産むことになった。

つまりは里帰り出産やな。

ほんまは3人で行くつもりやったんやけど、色々重なってAだけ行くことになってしまったんや。

ようやく俺も休みが取れて翔を連れて向こうに行こうと思ったんやけど……

A『玄弥さん、あのね翔ももう小学生になるでしょう。色々経験させておいた方がいいと思うの』

とまぁ、まとめると“はじめてのおつかい”をさせたいっちゅー話。

仕事上、敵は多いし反対したんやけど天羽組の皆さんや天王寺組も協力してくれるって言うし、頷くしかないわな。

まぁ、翔ももう少しで小学校上がるし経験させたくんも悪いことじゃないわな。

翔「お父さん、もうだいじょうぶだよ」

むくれた顔、Aとそっくりやなぁ。

玄弥「じゃあ、もう行くで。ちゃんと三國の親父に挨拶するんよ」

翔「わかってるー」

後ろ髪引かれるってこういうこと言うんやろな。

俺は車に乗ってる渋谷に合図を送り新幹線へと向かう。

大阪の護衛は渋谷と馬渕に任せてある。

東京の方も何人か護衛がついてくれる手筈や。

玄弥「頼むで、2人とも」