ある極道のお嬢の話II (ページ12)

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天羽組の新たなお嬢！ページ12

出産から数日、Aは久々に実家へと足を踏み入れた。

その腕には、小さな女の子が抱かれている。

2人は彼女の名前を朱莉(あかり)と名付けた。

どことなく、幼少期のAの雰囲気を纏う彼女を、組員ー主に古参ーは目に入れても痛くないというような可愛がりっぷり。

無論、父親である戸狩も同様だ。

戸狩「はぁー、かわええなぁ。誰に似たんやろ。目に入れても痛くないわぁ。ええかぁ、朱莉。彼氏は俺より強くなきゃあかんからな」

とまぁ、こんな具合に未来の彼氏に牽制までする始末。

母親のAが頭を抱えたのはいうまでもない。

ただ１つ、彼女の心配が取り越し苦労に終わったことがある。

それは長男である、翔だ。

当初は妹にポジションを取られて癇癪を起こすかもしれないと思われたが、そんな事はなかった。

無論、多少甘えん坊にはなったが、基本的にはいい兄である。

翔「あかり、お兄ちゃんが守ってあげるからね」

眠っている妹の頬を優しくつついては、何度もそう囁くのだ。

これは極道に囲まれて育った彼ならではかもしれない。

A「翔、朱莉のことみてくれてありがとう。そろそろお腹すかない？」

翔「うーん、、、、でも、僕あかりのことみてないと」

A「あら、ちゃんと食べないと妹のこと守れるくらい大きくなれないわよ」

そう言うと翔は名残惜しそうな顔をしながらもご飯を食べに行くのだ。

その姿のなんと可愛らしいことか。

天羽組には、可愛らしい兄妹の写真が溢れることとなったのである。