それぞれの未来 ページ47
俺の名前は小峠華太。
組内の殺気だった雰囲気をひしひしと感じているアラサーの極道だ。
1年前、お嬢は坊ちゃんの担当保育士に殺されかけた。
刺されどころが悪かったせいでお嬢は数日間、生死の境を彷徨った。
犯行に及んだ男は、永瀬の兄貴がキッチリ型にはめていた。
お嬢に頭を下げられ、大阪に送り出した日から2年。
お嬢が結婚することになった。
相手は天王寺組の武闘派、戸狩玄弥。
正直、坊ちゃんの父親であることや、お嬢がまだ戸狩を好いていることを聞いた時は、受け入れられなかった。
戦争は終結したとは言え、組が散々な目に遭わされた事実は消えねぇ。
まして、阿久津のカシラは戸狩に殺されている。
完全に恨みを拭うことはできない。
でも、小さい坊ちゃんを抱いて泣くのを堪えながら頭を下げるお嬢に誰1人責める気持ちにはなれなかった。
カシラが死んで壊れかけたお嬢を知っているからだ。
お嬢は賢い人だ。きっと、今回も相当悩んで俺らに打ち明けたのだろう。
「兄貴、大丈夫ですか」
「あ?何がだ」
俺は縁側でくつろぐ永瀬の兄貴に話しかけた。
今日は、お嬢が戸狩との結婚報告に来る日だ。
野田のカシラはもちろん、お嬢と親しい兄貴たちは随分殺気立っている。
永瀬の兄貴は、お嬢と兄弟のような関係で阿久津のカシラとも親しかった。
兄貴は、この結婚についてどう思ってるんだろうか。
「お嬢の結婚、反対の気持ちはないのかと……すいません」
「……別に、賛成してるわけじゃねぇ。阿久津のカシラを殺したのを許したわけでもねぇけど、Aの人生は、Aのもんだ。
血も繋がってねぇ俺が、とやかく言う筋合いもねぇからな」
そう言った永瀬の兄貴は、どこか寂しそうに見えた。
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シャリファ(プロフ) - 夢主死なないで…!! (1月21日 21時) (レス) @page46 id: d94d66ff3c (このIDを非表示/違反報告)
翡翠(プロフ) - ついに再開するのかな……どうなるのか、楽しみ! (1月3日 22時) (レス) id: 8bbd6a886b (このIDを非表示/違反報告)
シャリファ(プロフ) - まじで相手誰だ‥?これからも楽しみにしてます! (11月29日 21時) (レス) @page18 id: 8b3e245298 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:天ヶ崎音 | 作成日時:2023年11月24日 18時