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私の名前は阿久津A。
今度こそ後悔のない選択をしようと力を振り絞る、極道の娘です。
ドアが壊された瞬間、終わったと思いました。
もう翔を守るほどの与力を残していません。
必死に私を呼ぶ翔に顔を向けることすら難しいのですから。
「A」
しかし入ってきた人物の声が聞こえた瞬間、私は涙を堪えられませんでした。
「げんや、さん、、、」
ずっと、会いたかった。話したかった。顔を見たかった。笑い合いたかった。
あなたが憎い。父を殺したあなたが。私を捨てたあなたが。
でも、でもね、玄弥さん……
「かける、、、を、つれて、、、にげて」
「はぁ?!何言うとるんや。一緒に連れてったる。医者に見せな」
焦った声を出す彼に向かい私は首を振った。
自分でわかる。
きっともう、私は助からない。血が出過ぎてる。
外からはまだ先生の声が聞こえる。
私まで連れて行けば、邪魔になってしまう。
「げんや、さん、、、かお、、、みせて」
玄弥さんは、険しい顔をしたまま膝をつき私の方へ寄ってきた。
なんとか手を伸ばし、その頬に触れる。
あぁ、やっとさわれた。
「ようやく、見て、、、くれた」
私の言葉に、玄弥さんがハッとしたような顔をする。
大好きな、紫水晶の瞳に私が映る。
よかった、まだ、、、大丈夫
「玄弥、、、さん、、、、、、愛してます」
玄弥さんの瞳が、狼狽えるように揺れる。
「ずっと、ずっと、、、あいして———」
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シャリファ(プロフ) - 夢主死なないで…!! (1月21日 21時) (レス) @page46 id: d94d66ff3c (このIDを非表示/違反報告)
翡翠(プロフ) - ついに再開するのかな……どうなるのか、楽しみ! (1月3日 22時) (レス) id: 8bbd6a886b (このIDを非表示/違反報告)
シャリファ(プロフ) - まじで相手誰だ‥?これからも楽しみにしてます! (11月29日 21時) (レス) @page18 id: 8b3e245298 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:天ヶ崎音 | 作成日時:2023年11月24日 18時