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「お元気そうですね」




「嫌味かいな」


明らかに警戒心たっぷりの返答に、思わず笑いそうになってしまいました。





まぁ、当然と言えば当然ですが。



舎弟さんも警戒体制を解くつもりはないようです。






おそらく、私が阿久津敏朗の娘だと気づいているのでしょう。





「安心してください。今日は、お願いがあってきただけなので」









私は、財布の中から写真を一枚取り出した。




一歳の誕生日に撮った、翔の写真。






突然、子供の写真を出され向こうは困惑しているようでした。




少し暗いところで撮ったのもあり、しっかりと顔が判別できないんでしょう。






間近で見たら、玄弥さんにそっくりなんですけどね。




「この子の名前は、翔です。








玄弥さん、正真正銘、あなたの血を引く子です」



2人が驚いたように目を見開いた。







「ほんまに、戸狩の兄貴の子なんですか」









信じられないと言った様子で問いかける舎弟さんに、私は再びバックに手を入れ、翔の髪の毛を取り出した。




「信じられないなら、DNA検査でもしてください。



でも、私は貴方が最初で最後ですよ」









「なるほどな、金をせびりに来たっちゃうわけや」


苦笑するようにそう言われ、涙が出そうになるのをグッと堪えました。





「兄貴、何もそんな言い方せんでも」






「お金は要りません。ただ、今夜だけあの子に会ってください。


そうすれば、もう貴方には会いません。


私が嘘をつかないのは、貴方が1番わかってるでしょう?」







少し、脅しのように聞こえたでしょうか。



玄弥さんが、苦しげな表情で下を向きました。





「待ってます、玄弥さん」















事務所を出ると、緊張がほぐれたのか涙が溢れてきました。





ねぇ、玄弥さん。



私たちはもう、戻れませんか?

戸狩玄弥と阿久津澪。それぞれの想い。→←・



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シャリファ(プロフ) - 夢主死なないで…!! (1月21日 21時) (レス) @page46 id: d94d66ff3c (このIDを非表示/違反報告)
翡翠(プロフ) - ついに再開するのかな……どうなるのか、楽しみ! (1月3日 22時) (レス) id: 8bbd6a886b (このIDを非表示/違反報告)
シャリファ(プロフ) - まじで相手誰だ‥?これからも楽しみにしてます! (11月29日 21時) (レス) @page18 id: 8b3e245298 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:天ヶ崎音 | 作成日時:2023年11月24日 18時

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