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お茶とお菓子まで提供され、困惑する私を置いてけぼりに三國さんは楽しそうにしている。
逆に怖いけど、悪意は感じない。
「ほんで、Aちゃんは戸狩に復讐でもしに来たん」
至極普通に、世間話でもするかのような調子でそう問われ、私は思わず固まる。
「そう、だと言ったら……素直に聞いていただけるんですか」
「はっ、おもろいなぁ。まぁ、人様の色恋にとやかく言うんはあれやけど、うちの戦力が削がれるんは困るなぁ」
笑いながら言う彼に、構った様子は見受けられない。
かくいう私も、心にもない事を言ったのだけれど……
「大丈夫ですよ。私は、あの人を殺せませんから」
そう、たとえ無抵抗の玄弥さんを前に拳銃を持たされても、私がその引き金を引くことはないでしょう。
恥も見聞も捨て縋りついて泣き叫ぶ、と言われたほうが現実的です。
「変な子やなぁ。2ポイントあげるわ」
(ポイント…?)
「親父……」
護衛の1人ー陣内さんが三國さんに耳打ちをすると
「ほな、あとは2人でゆっくり話しや」
そう言ったのとほぼ同時、男が2人部屋に入ってきました。
「親父、話って……は?」
気怠げな瞳が、私を見て大きく見開かれた。
「なんで、ここに……」
まるで幽霊でも見たかのような顔。
2年前は、こんな再会の仕方をするなんて想像もしていなかった。
「なんや、お前に用がある言うからな。話だけでもしていったらいいんちゃう?知らんけど」
ヒラヒラと手を振りながら去っていく三國さん。
残されたのは、私と玄弥さんと、舎弟と思われる人が1人。
どこか苦しそうな顔で斜め前に座った玄弥さんに続き、舎弟さんも恐る恐る席につく。
「お久しぶりですね、玄弥さん」
さぁ、頑張らないと。
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シャリファ(プロフ) - 夢主死なないで…!! (1月21日 21時) (レス) @page46 id: d94d66ff3c (このIDを非表示/違反報告)
翡翠(プロフ) - ついに再開するのかな……どうなるのか、楽しみ! (1月3日 22時) (レス) id: 8bbd6a886b (このIDを非表示/違反報告)
シャリファ(プロフ) - まじで相手誰だ‥?これからも楽しみにしてます! (11月29日 21時) (レス) @page18 id: 8b3e245298 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:天ヶ崎音 | 作成日時:2023年11月24日 18時