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Aは目を疑った。
口に出すはずだった言葉は影を潜め、代わりに音とは名ばかりの声が口をつく。
「え」
玄関にいたのは、野田、小林、和中、小峠、、、そして
「おと、、、さん?」
小林の背に背負われている男は、紛れもなく父であるはずだ。
だが、その男から生気が感じられない。
腕はだらりと垂れ、顔からは出血も見られる。
「すまねぇ、お嬢。間に合わなかった」
脳面のように無表情の小林が、無感情で告げる。
Aの脳は、必死に状況を理解しようとしていた。
床に横たわる父のようなモノを前に、視界から入る情報を必死に処理しようとする。
「なにが、あったの」
声を震わせながらそう問いかけるAに、小峠が静かに告げる。
「天王寺組、戸狩玄弥の襲撃により、カシラはっ、、、」
Aの眉がピクリと跳ねる。
「いま、なんて?」
「っ、カシラは戸狩玄弥の襲撃により亡くなりました」
「嘘よ」
聞き間違いではない、記憶違いでもない。
「だって、、、そんなはずない」
会いたくても会えなかった人。
「だって、玄弥さんは……」
忘れたくても、忘れさせてくれなかった人。
「玄弥さんは、翔の父親なのよ?」
戸惑い揺れるAの瞳は、誰も写してはいない。
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シャリファ(プロフ) - 夢主死なないで…!! (1月21日 21時) (レス) @page46 id: d94d66ff3c (このIDを非表示/違反報告)
翡翠(プロフ) - ついに再開するのかな……どうなるのか、楽しみ! (1月3日 22時) (レス) id: 8bbd6a886b (このIDを非表示/違反報告)
シャリファ(プロフ) - まじで相手誰だ‥?これからも楽しみにしてます! (11月29日 21時) (レス) @page18 id: 8b3e245298 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:天ヶ崎音 | 作成日時:2023年11月24日 18時