ある極道のお嬢の話 (ページ25)

今日:24 hit、昨日:10 hit、合計:21,683 hit

工藤の息子…亘清との再会ページ25

組を歩いていると、当然お嬢にも会う。

工藤の兄貴を慕っていたお嬢が、兄貴そっくりのコイツを見たらどう思うだろうか。

華(先に説明しといたほうがいいな)

華「お嬢、コイツは……」

だが、俺の言葉を遮り工藤は驚いたような声を出した。

亘「Aねぇちゃん？」

華「なっ！？」

「え、、、もしかして、亘清？」

お嬢も驚いたように目を見開いている。

華(知り合い、、、なのか？)

明らかにお互いを知っている様子の2人に戸惑っていると、お嬢が険しい顔をして言った。

「どうしてここにいるの」

いつもよりトーンの下がったお嬢の声に、俺は肝が冷えるのを感じた。

華(さすが、カシラの血が入っているだけはある)

だが、工藤は全く気づかず嬉々として告げる。

亘「俺は、親父みたいになりたいんだ。だから、ここで男を磨く」

そう宣言した工藤に、お嬢は悲しそうな顔をした。

「……確かにおじさんは凄い人よ。天羽組の人は、、、ううん、裏社会に生きる人なら誰もがそう答えるでしょうね」

亘「あぁ、だから俺は」
「でもね、亘清。貴方には、貴方の良いところがあるわ」

お嬢の言葉に、工藤は納得のいかない顔をしていた。

悲しげに笑ったお嬢は、そのままその場を後にした。

工藤の案内が終わった頃、お嬢から部屋に呼び出された。

おそらく工藤のことだろう。

華「お嬢、小峠です」

「あぁ、入って」

坊ちゃんを腕に抱いたお嬢に促され、布団の横に座る。