ある極道のお嬢の話 (ページ24)

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突如聞こえてきた声に気を取られて、男の腕が緩んだ。

「かはっ！ゲホッゴホッ、、、ケホッ」

久方ぶりの酸素に咳き込んでいると、突然男が悲鳴をあげて倒れてしまいました。

「ひっ」

「A！」

聞き馴染みのある声の方をすると、確認するよりも先に視界が暗くなってしまいました。

(光ちゃん？！どうしてここに……)

「このっ、馬鹿野郎が！心配かけてんじゃねぇよ」

「ごめんなさい」

焦っている様子の声を聞いて、驚いた。

だって、光ちゃんのこんな声を聞いたのは子供の時以来だったから。

「1人で行くなって言ってんだろ」

「うん、ごめんね」

泣き出しそうな光ちゃんの声を聞いてたら、すごく申し訳なくなってきた。

思わずあやすように背中を2回叩いた。

「おい、ガキ扱いしてんじゃねぇよ」

(よかった、いつもの光ちゃんだ)

安堵していると、光ちゃんの目線がある一点で止まりました。

そう、私の首元で。

気絶寸前まで絞められていたから、跡が残っていたのでしょう。

光ちゃんの顔がみるみる怒りに歪んでいきました。

「このゴミは、後で炙る」

すぐさまスマホで男の写真を撮ると、光ちゃんは私をおぶってもと来た道を帰り始めました。

いや、私三十路なんですけど？

「光ちゃん、恥ずかしいからおろしてよ」

「阿呆、てめぇどっか行くだろ」

「行かないよ」

光ちゃんは頑固だから多分おろしてくれない。

仕方なく私は、お兄ちゃんに身を任せることにした。

そう言えば、おぶられるのも子供の時以来だなぁ。

「光ちゃんの背中、あったかいね」

「そうかよ」

光ちゃんのぶっきらぼうな返しを聞きながら、私は意識が遠のいていくのを感じた。

ちなみに首の跡を見たお父さんたちが怒り狂って、例の男は粛清されました。