ある極道のお嬢の話 (ページ22)

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天羽組でお花見。お嬢がピンチ？！ページ22

私の名前は阿久津A。

「なぁ、ちょっと大人しくしててくれればいいからよぉ」

せっかくのお花見気分を台無しにされた極道の娘です。

熾烈を極める天王寺組との抗争が一時休戦ということで、天羽組一同は花見に来ていました。

途中、ちょっとしたハプニングはあったものの束の間の休息を楽しんでいます。

「おー、翔はよく寝てんじゃねぇか」

少しほろ酔い状態の光ちゃんは、機嫌が良さそうに翔の顔をのぞいています。

まだ首も座っていませんが、中々に男前な顔だと組内では評判なんですよ。

光ちゃんにとっては甥っ子ができたみたいで嬉しいのか、誰よりも率先して翔の世話をしてくれます。

「よし、そろそろお開きにするか」

桂司おじさんの声で、組員がゾロゾロと後片付けを始めました。

私も何か手伝おうとしたんだけど、ご丁寧に全て断られちゃった。

京子おばさんにも諭され、渋々2人でいることに。

何となく世間話をしながら終わるのを待ってたら、何だか喉が渇いてきちゃいました。

「おばさん、ちょっと翔をお願いして良いですか」

「良いけど、どうかしたの」

「いえ、ちょっと喉乾いちゃって。お願いします」

自販機は少し遠くにあるから、ちょっと散歩でもしようかな。

満開に咲いた桜が風に舞って、所々に桃色の絨毯が。

ほのかに香る桜が鼻をくすぐった。

平和だなぁ、なんて考えていたら、どこからか争うような声が聞こえました。