ある極道のお嬢の話 (ページ3)

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そんなこんなで、朝が明けた。

華(お嬢は今日の昼頃来る予定か)

心なしかソワソワとしてしまう。

なんせ、お嬢は陰で“天羽組の天使”って呼ばれるくらいにはみんなに愛されている。

あの人がいると、兄貴たちも幾分か(？)優しくなるのだ。

一「おい、飯豊三等兵。お嬢の部屋にちょっとでも埃があったらわかってるなぁ？」

朔「はい！即ち死です！」

陽「スリル！スリル！今日の星占いは2位！ラッキーアイテムはお嬢！」

華(ラッキーアイテム？)

幸「速水ぃ〜、お前は暇だぁ、ジュース買ってこぉい」

泰「はい！すぐに！」

変わらない日常に見えるが、兄貴たちも浮き足立っている。

紫「よし、完璧！」

華(なぜ女装を……？)

梗「華太〜、俺イけてる？」

華「はい、いつも以上に男前で顔が見えません」

梗「それじゃダメじゃぁーん」

蒼「きた」

和中の兄貴がそう呟いたとほぼ同時、玄関の呼び鈴が鳴った。

どうやら本当にお嬢が来たようだ。

どんだけ耳いいんだよ、この人……！

俺たちは野田の兄貴を筆頭に、玄関に出向いた。

親っさんがゆっくりと扉を開け、数秒後……

「ただいま」

懐かしい声が頭上から降ってきた。

「「「「「お帰りなさいませ、お嬢」」」」」

待望の瞬間だ。組の空気が一気に明るくなるのを感じた。

だが、それも束の間。

カシラの困惑するような声が聞こえた。

「澪、、、お前、それは……」

俺は恐る恐る頭を上げる。本来なら、許可なく頭を上げれば兄貴たちの怒りの鉄拳(その他諸々)が飛んでくるのだが、兄貴たちも頭を上げてたおかげでソレは免れた。

いや、問題はお嬢の方だ。

お嬢の着ている服はダボっとした感じのワンピースで非常に似合っている。

いや、そうじゃねぇ！

なんだか、腹のあたりが膨らんでるような？

「あー、とりあえず中に入っていい？」

少し困ったように笑う顔は当時と何一つ変わっていなかった。