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「お嬢、まだ髪が濡れてるじゃねぇか。俺が乾かそうか」
流己くんに会えるのが嬉しくて、忘れていたみたい。
「いいの?しーちゃんとご飯に行くんじゃ」
「大丈夫だよ、お嬢。まだ時間あるから」
しーちゃんー紫苑が承諾してくれたから、遠慮なく手を借りることにしました。
流己くんとしーちゃんは、歳が近いのもあって友達のような関係です。
2人は、私の良き相談相手でもあり教師になってからもいろいろ相談していました。
多分、お父さんと清司おじさんの次にこの2人と話した時間は長いと思います。
「……」
ふと清司おじさんのことを思い出してしまい、思わず涙がこぼれそうになりました。
「お嬢」
2人の声に、慌てて思考を戻します。
あぁ、余計な心配をかけてしまいました……
2人は何も言わず手を繋いでくれます。
変わらない2人の優しさが、じんわりと寂しさを和らげてくれました。
あぁ、やっぱり大好きだなぁ……
流己くんに髪の毛を乾かしてもらいながら、色んな話をしました。
しーちゃんにはお肌のケアまでしてもらって。
女装ヒットマンなだけあって、しーちゃんの肌ケアは女性と同じ、それ以上のこだわりです。
「お嬢、今度俺がメイクしても良いか?」
「しーちゃんにやってもらえるなんて、嬉しいわ」
「お嬢、今日から毎日髪の毛乾かしてあげるよ」
「そんな、流己くんの時間は流己くんのために使わないと」
随分と長い時間話し込んでしまったけど、あの人の事は言えなかったな。
もう随分と、お腹の子は大きくなりました。
そろそろ臨月に入るから当たり前なんだけど……
「……どうして———さん」
その日の月は、少し寂しげに見えました。
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シャリファ(プロフ) - 夢主死なないで…!! (1月21日 21時) (レス) @page46 id: d94d66ff3c (このIDを非表示/違反報告)
翡翠(プロフ) - ついに再開するのかな……どうなるのか、楽しみ! (1月3日 22時) (レス) id: 8bbd6a886b (このIDを非表示/違反報告)
シャリファ(プロフ) - まじで相手誰だ‥?これからも楽しみにしてます! (11月29日 21時) (レス) @page18 id: 8b3e245298 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:天ヶ崎音 | 作成日時:2023年11月24日 18時