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「お嬢、そんな事で夢を諦めんのか」
おじさんは悲しそうに問いかけた。
「お嬢の夢への気持ちは、そんなもんだったのか?!」
悔しくて、苦しくて、私は拳を握り唇を噛んだ。
違う、そんな簡単なもんじゃない。
でも、私はあの人と先生になりたかった。
あの人の下で、先生になりたかった。
「もう、いいよ。もう先生はいないんだから」
「馬鹿野郎!言い訳ねぇだろ!!」
おじさんの怒声に思わずビクリと体が跳ねる。
「そんな外道のせいで大事な生徒の夢が潰れて、その先生は喜ぶのか?!お嬢の好いた先生は、そんな奴なのかよ!」
「違う!違う、、、けど、、、じゃあ、先生はどうなるの?先生の気持ちは、無念は、誰が晴らすの?」
涙で視界が歪む。
ボタボタと地面に涙が落ちる。
おじさんが、優しく私を抱きしめた。
「お嬢の気持ちは、痛いほどわかるさ。でもなぁ、こっちにきちまったら終わりなんだよ。先生は、お嬢が自分と同じ道を歩むのを楽しみにしてんじゃねぇか?」
優しい声音が、私の身体から力を抜いていく。
「いいか、お嬢。一時の感情に身を任せちゃあいけねぇ。特に怒りや復讐心なんかに従ったって良いことなんか1つもねぇ」
まだ、納得しきれていないのが伝わったのだろうか。
そっと私の肩を持つと、ニッと笑って言った。
「ただな、その半グレだがウチのシマで悪さしたから、今野田たちが粛清に向かってる」
後日、本当にその半グレはこの世から姿を消していた。
私は以前より必死になって勉強した。
あの人と同じ先生になるために。
清志おじさんには、感謝しかない。
あの時、私を復讐の渦から助け出してくれていなかったら……そう思うとゾッとする。
いつか、ちゃんとお礼を言わなければと思っている。
あの時は恥ずかしくて言えなかったから。
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シャリファ(プロフ) - 夢主死なないで…!! (1月21日 21時) (レス) @page46 id: d94d66ff3c (このIDを非表示/違反報告)
翡翠(プロフ) - ついに再開するのかな……どうなるのか、楽しみ! (1月3日 22時) (レス) id: 8bbd6a886b (このIDを非表示/違反報告)
シャリファ(プロフ) - まじで相手誰だ‥?これからも楽しみにしてます! (11月29日 21時) (レス) @page18 id: 8b3e245298 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:天ヶ崎音 | 作成日時:2023年11月24日 18時