ある極道のお嬢の話 (ページ12)

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写真の中の先生は、あの時と同じ顔で笑っている。

まだ死んだなんて信じられない。

でも棺の中で眠る先生を見て、これは現実なのだと理解した。

昔、お母さんが死んだ時のことを思い出し少しだけ泣いた。

「帰るか」

「待って、ちょっとお手洗い行ってくる」

光ちゃんと離れてお手洗いに行った時、外からこんな話が聞こえた。

「先生、可哀想にね。殺されたんでしょう」

トイレから出るのをやめて聞き耳を立てる。心臓の音がバクバクと波打っている。

「乱暴された後もあるって、、、いい先生だったのにねぇ」

私は我慢できなくなって飛び出した。

「あの！その話、詳しく聞かせてくれませんか」

その人達は驚いた様子で、少し口ごもりながら話しはじめた。

彼女たちの話によると、先生が殺されたのは夜の帰宅途中で目撃者はいないのだという。

警察も捜査をしているが、なかなか犯人の情報は掴めないって。

とりあえずお礼を言って、その場を後にした。

「何があった」

多分、顔に出ていたのだろう。

光ちゃんが心配そうに尋ねてきた。

「何でもない。ちょっと思い出話してただけ」

(絶対に許さない。見つけ出して、殺してやる)

光ちゃんにバレたら止められるのはわかっていたから、言わなかった。

もちろん、お父さんや他の組員にバレても同じ。

だから私は誰にも頼らず自分だけの情報網を使って、先生を殺したやつらに復讐することにした。

先生の近所の人や、生徒、ホームレスの知り合いにも声をかけて当時の目撃者や、先生のことを調べ上げた。

我ながら、中々な行動力だと思う。

そうしてついに、事件の真相が明らかになった。

先生を殺したのは、あの不良生徒の親。

先生に関係を迫ったけど断られた上に、子供の教育にケチをつけられて逆上したらしい。

多分、後にも先にも他人に対してこんなにも憎悪を抱いたのはこれが最初で最後だ。

私は、計画を実行することにした。