愛は底に (赤緑) ページ1
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僕達は何もかもが遅かった__
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(神山side)
キラキラ光るネオン街。
外からは金曜日だからかハメを外した大学生らしき声が聞こえる。
俺やって数年前は、こうやってキラキラしていた時代があったんやなぁって。
今もうすっかりこの黒い、出口の見えない世界におるんやけどな。
「なぁ」
「ん?」
「今何考えてたん」
俺に跨って身体中に跡を付けながらそう尋ねてくるのは
「だいきのこと」
不倫相手、の大毅。
正確に言うと、俺が大毅の不倫相手。
銀色の指輪が目に入って、つい目を逸らす。
「嘘やろ。また目ぇ逸らした」
そう言って1回唇にキスを落とされた。
そして何もかも分かったかのような目をして、指輪を外し机の上に放り投げた。
「ふふ、分かりやすいよなぁ...ともって」
「うるさい、」
何もかも見透かされたのが悔しくて冷たくしたものの、本当は凄く嬉しかったから自分が嫌になる。
「...とも、好きやで」
そして何よりこの幸せが壊れるのが怖かった。
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作者名:こまつな。 | 作成日時:2018年9月20日 10時