【ヒロアカ】【第五人格】我が個性、我が人格 (ページ9)

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準備完了？ページ9

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『………あっ。』

荘園から出ると現実界の体の意識は段々と覚醒して行く。…いや、どちらかといえば血の気が引いていくという表現の方が正しいかもしれない。その証拠を示すかのように、焦りから冷や汗が頬をつたった。

『お、おはようございます……。』

「おはよう。……起きるのに18秒かかりました。入学早々合理性に欠くね君は。」

そう、目の前の人物のせいで。

名前こそ覚えていないが、試験会場にいた教員のひとりだというのは覚えている。この教室にいるということはつまり彼がここの担任教師なのだろう。

なんとなく察してはいたが一応恐る恐る辺りを見渡すと、やはり教室内には私と無精髭の猫背先生の他には誰もいなかった。…これは割とやらかしたのでは？

『モウシワケゴザイマセン…。』

「…お前の個性のことは聞いてる。が、それを理由にするのは今回までだ。これ着てはよグラウンド行け。」

ポイっと渡されたのは近未来なしゃれおつデザインの体操着だった。

正直、入学式は？とかいろいろ聞きたいことはあったが“合理性”という言葉から察するに、この人は時間にルーズなタイプな人なのだろう。

現状、質問で時間を食うのは好ましい対応とはいえない。
逆にいえば合理的な行動とやらを示すのがこの場で最善の選択と言える。となればその最善の選択を実行するまで。

『今すぐここで着替えますので少々お待ちを！』

「は？」

『では行ってきます。』

瞬時に意識が荘園へ移された現世の体は、だらりと力が抜け机に頭を打ち付けていた。

額に痛みをぼんやりと感じていると、脳裏で揺らいだシダの葉がパリンと音をたてた。