【ヒロアカ】【第五人格】我が個性、我が人格 (ページ32)

今日:2 hit、昨日:9 hit、合計:130,462 hit

…2 ページ32

，

「相澤くんのウソつき！！」

個性把握テスト終了後、教室に戻る途中に何処かから聞こえた声。
テレビで聞いたことがあるような無いような…とAが建物の一角から声のした方をそっと覗くと、そこには何やら取り込み中の相澤とオールマイト。

Aは、荘園に戻って制服に着替える際、抜け殻状態になる体を先生に預けておこうと彼の後を追っていたのだった。

ふたりが話している様子を見るとAは、そっと壁際へ寄って続々と教室へ戻るクラスメイト達の死角へと移動した。

先程、交流した緑谷や麗華、飯田、八百万といった面子もその集団の中から見えた為代わりに彼らに頼めば良いのだが、結局A自ら歩み寄る気配はない。

彼女にその自覚はないが、荘園以外の人物への信頼が極端に薄い。

，

制服は荘園に置きっぱなしなので着替える際にはまた意識を切り離さなければならない。

＿＿「リッパー達が早くきみの制服姿を見たいと言ってたぞ。…まあ、かくいう私も同意見だ。制服はロビーの部屋にあるから取りにおいで」

その上レオにこのように言われてしまっては、荘園に一度入れば暫くは皆んなに捕まって外に戻れず、長引けばジョゼフが大掛かりなカメラを取り出してきて更に長居になってしまうことをAは長年の経験で分かっていた。
かく言うAも満更ではないので結局長居する事になるだろう。

暫く現世に戻れないとなると、更衣速度の差でまだ人がまばらな状態の教室に突っ伏していなければならない。

何も無いと分かっていながらも、Aはそうして人手の薄いところで隙だらけな姿を晒すのに抵抗があった。

それが例えクラスメイトだとしても、まだ全員が信用に足る人物だという確証もないのだ。先程自分から彼らに歩み寄らなかったのも、心のどこかでまだ気を許せていない証拠だろう。

そういった事はAの少し冷たくシビアな部分が垣間見える行動でもある。
やはり昔から荘園の者達に対し絶対的な信頼を置いている分、現世での人間関係の信頼性的弱さはここに来てもなかなか治らないようだ。

かつての教師群や相澤がAにおいて最も不安視しているのもそこだ。

「それで、いつまでそこに隠れているつもりかな？竪琴少女」

『……』

面倒な事になった。
そんな意味合いのため息をつきながら、Aは仕方なく物陰から姿を現したのだった。