【ヒロアカ】【第五人格】我が個性、我が人格 (ページ5)

今日:1 hit、昨日:3 hit、合計:130,368 hit

…3 ページ5

，

ハッとして顔を上げる。

先程いた教室より若干薄暗く感じるが、ここにもう何度も来ているからか、不思議と明暗の差で目が眩む感覚はなかった。

統一感のあるアンティークを基調とした家具と部屋。その所々で綺麗に形を保った置き物もあれば老朽してほとんどが崩れてしまっているもの、埃をかぶったもの等あり方は様々。

ミステリアスチックな雰囲気作りには丁度良いんだけど、さすがに掃除した方が良さそう…。

食堂の席に座っていた私はそんな事を思いながら腕を天へ突き上げ大きくのびをした。

『なーんか…こっちにくるの久々な気がする。』

「よく言うぜ。ほとんど毎日欠かさず来てるくせによ。」

そう捲し立てる声の主はテーブルの正面で少しふてくされた様子で鎮座していた。

『あ、ピアソンさん。』

「…おう。」

今更だがここは私の個性…というより私の意識の中と言った方が正しいのかな。自分でもいまいちわかってないけど此処は、私の意識の中に存在するエウリュディケ荘園。

若干お化け屋敷感のある老朽具合と薄暗い雰囲気が特徴的な広い敷地のある館で、今正面にいるピアソンさんのような人達がここでたくさん暮らしている。

私が先ほどから人格と呼んでいるのがここの住人のことだ。

＿＿なんだ、全然喋れてんじゃねェかお前。

ふと頭によぎった先程脳内に響いた言葉。あの声は明らかにピアソンさんだ。

『あ、もしかして心配してくれてた？なんだー可愛いところあるじゃん。』

「うっせ、俺は別にそんなんじゃねーよ。ウッズさんが心配そうにしてたから気にかけてやっただけだっての。」

『はいはい。』

エマちゃんは「きっとなら大丈夫なの」と、割と私自身の力を信じてくれているし、彼女自身がのんびりとした子だからピアソンさんが言うほど心配をする達ではないのを私はよく知っているが、あえて言及はしなかった。

「A！来ていたのね。高校はうまくやっていけそう？」

エントランスに続く大扉が開かれ、やって来たのはエミリー。彼女は少し不安そうに私の顔色を伺った。

『まだ分からないや。クラスメイトにもまだ3人としか会ってないし…あ、でも敷地内の建物凄くでかいよ。』

お金たくさん持ってそうだよねこの学校。と付け足すと“お金持ってそう”という部分にピクリと肩を動かすピアソンさん。

すぐに彼の下心を汲み取ったエミリーは呆れた様子で隣の“慈善家”を眺めた。