成功しすぎたオタク、 (ページ46)

今日:1 hit、昨日:20 hit、合計:54,068 hit

2 ページ46

私が寝っ転がると当たり前のように、自分が来ていたシャツをかけてくれる。

『え、バシくん寒いじゃん！大丈夫だよ！』

石橋「いやいや、足だして大丈夫なわけないでしょ。もう12月だよ？」

今日の衣装は膝下までの可愛らしいワンピース。

そんなに出てないのでは、と思ったけどバシくんが返しても受けたらなさそうだったから、素直にその優しさを受け取ることにする。

『ありがとう、バシくん』

石橋「い～え～。ってか、やっと呼んでくれたね」

言いながら向かいの椅子に座る。

『何が？』

石橋「バシくんって。」

『ああ、呼ばないようにしてた。』

石橋「なんで？」

『また、騒がれちゃうから』

石橋「、、、そっか。」

ねえ、今どんな顔してるの？

どうしてそんなに寂しそうに言うの？

『うん。ごめんね、あの時。』

謝るなら今しかないと思った。

海ちゃんにも一回話した方がいいと言われたし。

石橋「いや、俺もごめん。あんなに騒がれると思ってなかった」

『んーん。私があんな不特定多数の人が見られる場所に書き込んじゃったから。』

石橋「いや、嬉しかったよ？」

『けど、やっぱり迷惑かけちゃったなって。ごめん。』

石橋「そのさ、ごめんやめてよ。何も迷惑じゃないし、謝るのはむしろ俺の方。辛い思いさせてごめんね。」

優しい人だから、きっと私が叩かれたことを言っているのだろう。

私が本当に辛かったのはバシくんが叩かれてしまった方。

でも、言わなかった。

言えなかった。

言ってはいけないような気がしたから。

石橋「この話もう終わり。収まったんだし俺は大丈夫だよ。」

『ねえ、これからもこのまま仲良くしてくれる？』

石橋「もちろん」

『アイドルとファンとしてじゃなくて、1人の人として仲良くして欲しいな」

石橋「俺も芸人とファンじゃなくて、ただの人として」

その言葉を最後にどちらも話さなくなった。