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授業終わりを告げるチャイムが鳴った。
各々が部活や帰宅の準備をし始める中、前の席から声がかかる。
「今日は部活見に来るん?」
スピードスターと呼ばれる彼は、何事も素早い動きで終わらせてしまう。もちろん準備ですら早い。毎日、白石くんの部活準備が終わるまでの数分、軽く話をするのが恒例になっている。
帰る準備はあとでいいか。
「ん、あきちゃんと行くわ」
「お!俺のかっこええとこ見せたるわ!」
と謙也が胸を張る、と机に当たってしまい、少し揺れた机を見て思いつくままに口を開いた。
「…。
…あのさ、私、軽い地震なら避けれる思うねんけど…」
「いきなりなんやねん。てかどうやって?」
「こう、揺れきた!思た瞬間ジャンプするねん。着地する頃には収まってるっちゅー話」
「いや無理」
「いやいけるて、何言うてんの?」
「いやお前が何言うてんの!?」
「だからこうさ、」
「ぶふっ」
地震談義を繰り広げていると、上から笑い声が降ってきた。
見上げると、口元を抑え震えている白石くんがいた。いつの間にか準備を終えてこちらに来ていたらしい。
「わかる、気持ちはわかるで白石」
「いやどういう気持ち…?」
白石くんの肩をポンポンと叩く謙也に、クエスチョンマークが頭に浮かぶ。
「…いやすまん、声かけようとしてんけど話聞こえてきて」
落ち着いたようで、白石くんはそのとても整ったご尊顔で話しかけてくれる。
顔が良い
「あ、いや全然…」
「いやまだ白石に慣れてないんかい」
少しどもってしまった私にすかさず謙也がツッコミを入れてきた。
「いやいやこれは不意打ち…もう大丈夫」
「最初は目も合わせてくれんかったのになぁ」
「その節は申し訳なく…。イケメンすぎて緊張してもうて…」
「俺もイケメンやろ」
銃のように親指と人差し指とを伸ばした右手を顎に添え、キメ顔でこちらを見てくる謙也。
「でも今は目合わせられるようになったからな!」
「このままもっと仲良うなれたら嬉しいわ」
そう言い、微笑みかけてくれる白石くん。その言葉と、余りにも綺麗なお顔に自然とこちらも笑顔になってしまう。
「いや俺は!?俺の事見えてるか!?」
「…あ、二人とも部活行かなやない?」
「そうやけどそうやない…!」
「ほないこか」
「んん〜!?」
頭を抱え喚いている謙也を引きずって行く白石くん、を見送る。
「頑張って〜、また後で」
そう声をかけると、おう!と返し2人は教室を出ていった。
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におー - 更新楽しみに待ってます! (2020年8月6日 7時) (レス) id: 804a9814c8 (このIDを非表示/違反報告)
ゆめこ(プロフ) - ここの財前くんすごい可愛くて好きです…。いつも楽しく読ませてもらってます。 (2019年10月21日 1時) (レス) id: a01c44eded (このIDを非表示/違反報告)
ふじりんご(プロフ) - あっっ こういう系好き… (2019年9月12日 20時) (レス) id: 42d7d11660 (このIDを非表示/違反報告)
みかん - 私は関西人です嬉しいです (2019年9月4日 13時) (レス) id: 84f3235ae9 (このIDを非表示/違反報告)
みかん - テニラビやってますやられてますか?私はみかんですねんという名前でやってますよかったら申請お願いします!あと更新頑張ってください私も光くん好きです (2019年9月4日 11時) (レス) id: 84f3235ae9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:さゆ | 作成日時:2019年3月19日 8時