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第40話 涙 ページ44

Aside


「え?ど、どういう事ですか?」


聞き返すと、絵美さんはさっき卓巳くんが
出ていったドアを指さす。


「卓巳と付き合ってるのか、ってこと」


付き合う?友達としてなら付き合ってるけど……

多分、恋人としてってこと?それなら、


「付き合ってませんよ、普通に友達です」


私の答えに残念そうな顔をする宇美さん達。
亜美さんなんて、ため息までついてる。

悪いことしちゃった感が……


でも、卓巳くんには好きな人がいるんだし、
お姉さん達にわたしが恋人なんて誤解されたら
困るよね。


「ごめんな、変な事聞いて」


絵美さんは相変わらず肩を落としたまま、
今までと違い暗いトーンの声で謝った。


「いえいえ、全然平気ですよ」

「なら良かった、早く飯食えよ」


目線を下に落とした時、全く手をつけていなかった
夕飯が目に入った。

ハンバーグを1口食べる。

どこか懐かしい味に、昔の事を思い出す。
小さい頃は、ハンバーグが好きでよく作ってもらってたっけ。

涙腺が緩みそうになって、慌てて宇美さん達に
話しかけた。


「このハンバーグすごく美味しいです!」

「本当!?よかったー!」


亜美さんが嬉しそうに笑う。
こっちまでつられて笑ってしまった。


「A、口元にご飯粒ついてる」


そう宇美さんに言われる。
え、どこだろ。恥ずかしい……

手で口元を触って、ご飯粒を探していると
亜美さんがスッと手を伸ばして取ってくれた。


「はい、取れたよ、Aちゃん。」


そう言って、可笑しそうに笑う亜美さんに
お母さんの姿が重なる。


その瞬間、急に寂しさに襲われた。

鼻の奥がつんとして、目の前が滲んでいく。


だめ、今泣いたら皆に迷惑かけちゃう。


そう思っていても、涙はとめられずに溢れて
手のひらに落ちた。

じんわりと肌に染み込んでいく涙を見ていると、
どんどん悲しくなっていって。

次々と溢れる涙は、止めようとするほど溢れていった。

第41話 温もり→←第39話 家族



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設定タグ:セクメン , 卓巳   
作品ジャンル:恋愛
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まりも(プロフ) - 時雨 都さん» ありがとうございます!これからも頑張りますのでよろしくです!(*・ω・)*_ _)ペコリ (2016年9月14日 20時) (レス) id: 7ccd4d3623 (このIDを非表示/違反報告)
時雨 都(プロフ) - 面白いです!更新頑張ってください!! (2016年9月14日 19時) (レス) id: cd89bf99bf (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:まりも | 作成日時:2016年8月9日 16時

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