手違いで第四校舎に転入してしまいました…【セクメン】

第36話 これが恋？ ページ40

卓巳side


聴いていた曲が終わり、イヤフォンから流れてくる
音楽が途絶えた時。


「ねえ、卓巳くん」


Aに唐突に声をかけられた。

俺がイヤフォンを外しながら「ん？」と聞き返すと、どこか遠くを見ながらAが言う。


「……恋って何なんだろうね」


もし、今何か飲んでいたら思いっきり吹き出した
だろう。それくらい動揺していた。


「きゅ、急になんだよ！」


さっき聴いてた曲のせいか？
恋？の曲だったみたいだけど……


「私ね、実は恋..とかしたことなくて、どんな感じ
なのかなーって思って」


いつもはこっちが照れるようなこと言いまくってても照れないくせに、はにかんだように言う。

黙ってるままだと気まずいから一応答えておくか..


「さあな……」


俺がぼそっとそう言うと、Aはイヤフォンの紐をいじりながら、ふっとこっちを見た。


「卓巳くんは今、恋してる？」


「……はあ！？」


恋！？恋なんてしてるわけ……


『Aちゃんの事好きだよね！』


そう思った途端、昴先輩の声がまた頭の中で
リピートされる。
さっきの曲の歌詞も鳴り出す。


その雑音にまみれながら、俺の脳は必死に考えようとしていた。


恋ってなんだよ！

俺だってしたことねぇって……


..でも


本当にそうなのか？俺は『今』恋してないのか？


そんな疑問が首をもたげる。
そしてその答えもすぐに分かった。


Aといると変な感じになるのは、女子に
慣れてないからだって。

Aといると楽しいのは、ただ単に気が合う
だけだからって。


だけど


もし、これが恋だとしたら

俺は




Aの事が好き？


その答えが浮かんだ瞬間、頭の中が拍子抜けする
ほどクリアになる。

それで、Aの質問への答えもすぐ出た。


「恋……してるよ」

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