第28話 好き? ページ31
卓巳side
テスト前日。答案を盗む日だ。
だが、俺にはもっと不安な事がある。
それは……
「とうとう今日だね!卓巳くんの家行くの
すごい楽しみ!」
この事だ。
隣で嬉しそうに話すAに適当に相槌を打つ。
「そうだな……」
姉ちゃん達をAに会わせて平気なのか?
などと不安な事は考えるとキリがない。
「ね、ところで卓巳くんの家ってどこ?」
「あー、地図送るから待ってろ」
スマホを開き、チャットアプリで家の位置の地図を送る。
「おー、きたきた!ありがとー」
「おう、それで場所分かるか?」
「うーん、多分。じゃあ、今日5時くらいに家行くね!」
5時ならギリギリ姉ちゃん達家にいないかな……
「分かった、気をつけろよ」
「うん!じゃあ、そろそろ帰るね!」
そう言って手を振るAに、手を振り返す。
階段を降りる軽快な足音が聞こえなくなったと思うと、先輩達が近づいてきた。
うわっ、超嫌な予感がする。
「たーくーちゃーん♡」
昴先輩が妙に間延びした声で名前を呼んでくる。
「……なんすか?」
「今日、Aちゃん泊まりに来るんだぜ?
嬉しいでしょ?」
じゅんぺい先輩に、ニヤニヤしながら言われると
すげー腹立つんだけど……
「いや、まあ普通に嬉しいっすけど……」
なんか照れくさくなって、目線を下にしながら
指を弄ぶ。
「ところで、卓ちゃんってさ……」
昴先輩が真剣な声で話し始めた。
なんかまた嫌な予感が……
「Aちゃんの事好きだよね! 」
その瞬間、手元が狂って思いっきり小指を
すげぇ方向に折り曲げてしまった。
「いってえええ……!!」
小指が、小指の感覚がねぇ……
呻く俺に先輩達はまたニヤニヤする。
「あれ?図星だった?」
「青春だなー!さっさと告白しろよ〜」
いつも通りからかう昴先輩とじゅんぺい先輩に、
いつもはノってこない先輩達まで一緒になって
からかってきた。
「とうとう卓巳も初恋か……」
「童〇卒業できるといいなぁ?ククク」
もうやだ……帰ろう。
俺は「逃げるなー!」と言う声なんて聞こえない
フリをして屋上から逃げ出した。
38人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
まりも(プロフ) - 時雨 都さん» ありがとうございます!これからも頑張りますのでよろしくです!(*・ω・)*_ _)ペコリ (2016年9月14日 20時) (レス) id: 7ccd4d3623 (このIDを非表示/違反報告)
時雨 都(プロフ) - 面白いです!更新頑張ってください!! (2016年9月14日 19時) (レス) id: cd89bf99bf (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:まりも | 作成日時:2016年8月9日 16時