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第27話 イヤフォン ページ30

卓巳side


学校の荒れ果てている校門を通り、空を見上げる。

連日ほとんど快晴だった空は、ほとんどが
雲で覆われていて隙間から青空が見えていた。


「屋上行くか……」


そう呟いて階段を駆け上がった。


***********************


屋上にはAしかいなかった。
いつもは他に誰かいるのに珍しいな….


「卓巳くんやっほー」


片方のイヤフォンを外してこっちを見る。
少し風が吹いてAの淡い金髪が揺れた。


「音楽聴いてたのか?」

「うん。誰もいなくて暇だったから」


Aの隣に腰を下ろす。
俺も暇になってきたので、聞いてみる。


「何聴いてるんだ?」


Aは小さく笑って、付けていない方の
イヤフォンを差し出す。


「聴く?良かったらだけど……」

「ッ…お、おう!」


なんか恋人がやるみたいな事をしている気がして、
照れて声が裏返る。

ほんの少しAの傍に寄って、イヤフォンを耳に当てた。

付けた瞬間、アップテンポな音楽が丁度いい音量で
聴こえてくる。それに合わせて歌っている声も
明るい。


「明るい感じの曲だな」


気が利いたことなんて言えなくて、率直な感想を
言うとAは「でしょ」と笑う。


「……寂しい時とか、明るい音楽を聴けば少しは
寂しくなくなる気がして」


その声は、Aの明るい声とは違いなんだか
泣きそうな声だった。

ハッとなって隣を見ると、Aは今までで
見たことのない顔をしていた。

イヤフォンから流れる曲とは対照的に寂しそうな
困ったような、そんな顔。


「A……!」


こんな近くにいるのにAが遠く見えて、
思わず名前を呼んだ。


「なーに?……ってどうしたの?そんな顔して」


いつの間にかAの顔は元の明るい顔に戻っていて、逆に心配されてしまう。


「……驚いただけだ」


ほっとして肩の力が抜ける。

でもその日はずっと、Aの寂しそうな顔が
頭に残っていた。




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設定タグ:セクメン , 卓巳   
作品ジャンル:恋愛
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まりも(プロフ) - 時雨 都さん» ありがとうございます!これからも頑張りますのでよろしくです!(*・ω・)*_ _)ペコリ (2016年9月14日 20時) (レス) id: 7ccd4d3623 (このIDを非表示/違反報告)
時雨 都(プロフ) - 面白いです!更新頑張ってください!! (2016年9月14日 19時) (レス) id: cd89bf99bf (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:まりも | 作成日時:2016年8月9日 16時

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