第26話 楽しみ ページ29
Aside
「あのさ……答案盗む日、俺の家泊まれよ」
真っ赤になりながら早口でそう言う卓巳くんに、
私は目を見開いた。
周りから見たらきっと、私の目はキラキラ輝いていたと思う。
「本当にいいの!?」
「え?お、おう……」
「やったー!」
すっごく嬉しい!家に泊めさせてくれるって事は
私を、友達かもしかしたら親友くらいに思って
くれてるってことだよね!
「そんなに卓ちゃんの家行くの楽しみ?」
そう聞かれて「もちろん!」と答えると、何故か
またニヤニヤするすーちゃん。
「だって!卓ちゃんよかったね〜」
「は、はあぁ!?なんでそうなるんすか!?」
すーちゃんって、卓巳くんからかうの好きだなぁ。
あ、すーちゃんだけじゃないか。
「どうもこうも……ね♡」
じゅんぺい先輩が、意味ありげに私の方を見る。
ん?訳が分からず首をかしげた。
「…〜〜〜ッ!」
顔を隠して蹲ってしまった卓巳くん。
「もう、先輩達やめてくださいよ!卓巳くん困ってるじゃないですか!」
「ごめんごめん!」
怒って顔をしかめると、すーちゃんとじゅんぺい先輩は謝ってくれた。
「卓巳くん、どうしたの?」
「……なんでもねぇ」
手を少し下げて目だけ出す卓巳くんが、なんだか
おかしくてつい吹き出してしまう。
「....クスッ」
「何笑ってんだ」
その状態で睨んでくると、さらに笑っちゃうから!
「何でもな….あははっ!」
堪えきれずに、言っている途中でつい笑い出す。
その瞬間、卓巳くんの肩がピクッと動いた。
「A……」
「な、何?」
焦りながらも聞くと、卓巳くんはゆらりと
立ち上がる。あ、これ、かなり怒ってる。
「あ、もうすぐ授業だー。じゃあね! 」
少しずつ卓巳くんから遠ざかる。
「待ちやがれええええ!!」
「あああああー!!」
全力ダッシュで追いかけてくる卓巳くん。
絶叫しながら屋上を逃げ回った。
こんな状況なのに自然と笑みがこぼれる。
ここに来てからの毎日は、私にとって宝物だ。
……そんな事言ったら卓巳くん達は呆れるかな?
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まりも(プロフ) - 時雨 都さん» ありがとうございます!これからも頑張りますのでよろしくです!(*・ω・)*_ _)ペコリ (2016年9月14日 20時) (レス) id: 7ccd4d3623 (このIDを非表示/違反報告)
時雨 都(プロフ) - 面白いです!更新頑張ってください!! (2016年9月14日 19時) (レス) id: cd89bf99bf (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:まりも | 作成日時:2016年8月9日 16時