第20話 距離 ページ23
卓巳side
屋上から離れて、胸をなでおろす。
顔にそっと手を当ててみると、すげぇ熱くて
パッと手を離した。
ちょうど近くに水道があったから、顔を洗って
水で冷やそう……
しばらくじっとしていると、顔の火照りも引いてきてほっとした。
昨日からなんか変だ。
Aが近くにいると、いつもみたいに上手く喋れない。こんな事今までなかったのに……
「卓巳くん!」
Aの声。また顔が火照り始める。
「卓巳くん、探したよ……」
はぁはぁと肩で息をするAに、俺は
ぎこちない笑顔を向けた。
「ごめんごめん 荷物取りに行っただけだって」
なら良かった、と微笑むA。
«可愛い»
なーんて、柄じゃねぇよな……。
「そういえばさ、昨日の怪我大丈夫?」
腕の包帯を指さされて、思い出す。
あー、そういえば怪我してたっけ。
「あー、怪我してたの忘れてたわ」
呆れ顔で笑われた。
「もう、怪我してた所気をつけないとダメだよ!」
わざと適当に聞こえるように、返事をする。
「はいはい」
「適当に返事するなー!」
いつの間にか普通に喋れていた。
これくらいの距離に、安心を感じる。
「屋上戻ろっか! 」
Aに言われて、かなり時間が経っていた事にきづいた。
「ああ、そうだな」
俺は荷物取りに行くなんて言い訳を、自分でも忘れていた。
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まりも(プロフ) - 時雨 都さん» ありがとうございます!これからも頑張りますのでよろしくです!(*・ω・)*_ _)ペコリ (2016年9月14日 20時) (レス) id: 7ccd4d3623 (このIDを非表示/違反報告)
時雨 都(プロフ) - 面白いです!更新頑張ってください!! (2016年9月14日 19時) (レス) id: cd89bf99bf (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:まりも | 作成日時:2016年8月9日 16時