リドル先輩に男装バレしてしまった監督生の話。【リドル･ローズハート】 (ページ12)

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11話ページ12

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イデア氏はなんというか、喋っている途中から終盤にかけて言葉尻が段々と小さくなっていくので少し聞き取りにくい時があるんだけども、聞き返すとタブレットでしか会話してくれなくなるので、私はすっかりイデア氏のセリフの聞き分けが得意になってしまった節がある。
イデア氏自身もそれに気づいているのか、時々他の人に話しかける必要がある時なんかに私づてに伝えようとしてくるのは困ったものであるが、少し臆病なだけで、気を許した人や友人には優しく接してくれる人なのだと知ってしまったので、何となくやめてと言えないままでいるのだ。

『ありがとうございます！イデア氏！神！』

イデア氏の手を取って少々大袈裟な態度でお礼を言うが、少し経っても何故かイデア氏からの返事がない。

不思議に思って、160cmそこそこの自分からしたらかなり高い位置にあるイデア氏の顔を覗き込むと、なぜだか戸惑ったような表情をしていた。

『イデア氏…？』

「っ、ああいや、なんでもないでござる。ささっ、お2人は対局の続きをば」

『？何もないなら良いんですけど…』

少し疑問に思ったものの、イデア氏に促されて、私は再びアズール先輩との対局に戻った。

「それで？僕達に相談があるんでしたっけ」

『あ、はい！アズール先輩はリドル先輩に頼み事をするとしたらどんな方法でやるのかなって、教えてほしいです』

「そうですねぇ…ベターなのは、相手の弱みを握って脅しをかけるか、等価交換といったところですが、あなたがリドルさんに知られたその「秘密」とやらが何かわからない以上、僕には何とも言えませんからね」

それだけ言って、ふむ、と少し悩んでから、アズール先輩はオセロの駒を盤上に置いた。

『となると、もう脅しをかけるしか……アズール先輩、リドル先輩の弱みとかってわかりますか？』

自分でもちょっとゲスなことを言っているなと思うけども、確かにリドル先輩の弱みを握って交渉すれば一方的なお願いじゃなくなるから、頼みやすくなるかもしれない。

『(これは名案では…？)』

「いくら後輩の頼みといえどここから先は別料金です。ご自分で調査してみては？」

『…わかりました！私、やってみます！アズール先輩貴重な意見ありがとうございました！それでは！』

「えっ、ちょ、監督生氏、対局は……？」

私は部室の隅に置いておいた自分の鞄を手に取り、善は急げとばかりにハーツラビュル寮へと駆け出した。