灰谷兄弟の姉3 (ページ25)

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「イザナくん！！
その人じゃなくて私に構って？？」

自分の中で渾身の甘えた声を出して、手を胸の前あたりで合わせて、首をちょっとだけ傾ける

我ながら身の毛がよだちそう…

さっきまでガシャガシャしていた店内が一瞬で鎮まり、イザナくんとカクちゃんも目を見開いてこっちを見てる

ああ、もう嫌だ…

友達にまで聞かれてしまったからには、絶対変なやつだと思われた

でも、ここまでしてしまったらもう後には引けない

「ね？イザナくんいいでしょ？？」

今度は両腕を広げて抱きしめてというようなポーズを取る

兄弟の前でしかやらないようなことを今私はここにいる全員の前でやっている

お願いだから誰か反応して…！

イザナ「何今の…」

イザナ君は馬乗りになっていたその人から降りて私の方へと近づいてくる

その間にその人達は倒れた人を連れて逃げていく

イザナ「ねえ、A
そんなことされたら流石の俺も我慢できない」

抱き寄せられて顔の距離が一気に近づき、私も思わず目を瞑るとピタッとその動きが止まる

「…イザナくん？？」

イザナ「ちょっと待っててね」

「んっ」

距離を縮めると顔中にキスをして、周りを見渡す

イザナ「お前ら今この子がしたこと全部記憶から抹消しろ
あれは俺だけが見ていいもんなんだよ」

なんて理不尽な言葉

私が勝手にしたことなのに…
カクちゃんの方を見ると、特にその言葉に驚くことなく頭を抱えてる

鶴蝶「おい、イザナ
他の人巻き込むな
一旦出るぞ」

さすがカクちゃん！
そう！イザナくんが一旦店から出てくれればなんとかなる

鶴蝶「A、何ぼーとしてんだ
お前も行くんだよ」

「え？私も？！」

鶴蝶「当たり前だろ、来い」

カクちゃんが私の手を掴む

こんな状況なのに大きくてどこか安心感を与えてくる手が何だか嬉しくて指を絡ませる