#29 ページ29
クモワシの糸は決して切れないわけではない。
案の定糸は人の重さに耐えきれず、もはやちぎれかけだ。
我慢できなかった受験者が数人落ちていく。
もう糸がもたない…その時ゴンの合図で糸にぶら下がっていた受験者たちはいっせいに落ち、卵を入手した。
「さてルル。お主も行かんか。」
「私は別にここで降りてもいいんですが。」
卵を入手した受験者以外で私以外は全員辞退するようだ。
受験者たちは私に注目する。
「あほなことを言うでない。お主ならこの程度楽にこなせるじゃろうに。」
「けど糸はもう切れかけだ。ルル、無理をしなくとも…。」
クラピカの言葉にゴン、キルア、レオリオが心配そうな顔をする。
ヒソカは少し口角を上げ、まるで私がここで降りることを許さないとでもいうよう顔をしている。
イルミも思っていることはヒソカと同じのようだ。
「はぁ…まぁいいか。卵を取ってくればいいんだろう？」
崖の前に立ち、崖下を見る。
「おそらく私がぶら下がったら糸は切れるだろう。なら、糸を掴まなければいい。」
そう言い私は崖を飛び降りた時、上からゴンが私を呼ぶ声が聞こえた。
受験者、試験官たちも驚きの顔を隠せず私が飛び降りた崖を覗いた。
会長だけはずっと笑っていた。
要は風が来るときに卵を取って上に上がればいいだけ。
まぁ念さえ使えば風など使わなくてもいいのだが。
だけどヒソカやイルミは使えてもゴンたちはまだ知らないようだから使わない方がいい。
ならば風が来るタイミングで一気に卵めがけて落ちればいい。
卵を手にした瞬間、下から強い風が吹き始めた。
その風を利用して崖上に着地する。
これで二次試験は合格だ。
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作者名：noir | 作成日時：2020年5月22日 19時
