#27 ページ27
な、なんだこの女…！
まるで獣に睨まれているかのよう…！
トードーは彼女の獣を狩るような目に恐れを感じた。
「ありがとうございますルルさん。」
「特に大したことはしていないさ。」
そう言い私はメンチの頭を撫でた後、さっき駄々洩れのヒソカのもとへ行きトランプを持つ手を掴んだ。
ヒソカは私の行動に驚きつつも、殺気は納めなかったがトランプはしまった。
「言っとくけどね、あたらしらも食材探して猛獣の巣に入ることなんて珍しくないのよ。武芸なんてハンターやってりゃ嫌でも身に着くのよ。注意力も、未知のものに挑戦する気概もない。それだけで、十分ハンターの資格なしよ！」
メンチの長包丁の芸に私は目を輝かせた。
私にもあれができるだろうか。
試してみたいが今はそんなことに気を取られている場合ではないようだ。
受験者の間に流れる空気は最悪で、ヒソカも抑えてはいるが時間の問題だ。
その時、広げていた円の中に私が待ちわびていた人物の気配を感じた。
「やっと来たか、遅すぎだ。」
「…ルル？」
私はヒソカの声に反応せず空を見上げる。
その行動に彼も気づいたのか上を見る。
「それにしても、合格者ゼロはちと厳しすぎやせんか？」
空から声がしたとたん、私たちの前に誰かが大きな音とともに落ちてきた。
砂煙で視界がふさがれ、煙から出てきた人物はネテロ会長だった。
あの高さ顔知的あの平気顔か…。
「何者だあの爺さん…。」
「審査委員会の会長であり、ハンター試験の最高責任者、ネテロ会長よ。」
「ま、責任者と言っても所詮裏方。こんなトラブルが起きた時の処理係みたいなもんじゃ。…で、メンチ君。」
ネテロ会長がメンチの名前を呼ぶと、試験の時の態度が嘘のように彼女は真面目な顔をして返事をした。
「君は、未知のものに挑戦する気概を問うた結果、全員その態度に問題あり、不合格と思ったわけかね？」
会長が話している途中、メンチの胸部をチラ見したのを私は見逃さなかった。
あのエロジジイ…本当に毎回会っても変わったところが一切ないな。
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作者名：noir | 作成日時：2020年5月22日 19時
