その4 ページ4
「......言いたいことはそれだけ?
これ以上私と話した所で何にもならないけど」
「俺達にも怪我人を見つけた以上最後まで世話を焼く義務があるからな」
ジリジリと距離を詰められ、私は後ずさりする。
「ちょっと兼さん、もう少し優しく言ってあげられないの?彼女さっきより僕達を警戒してるけど」
長髪の男の後ろから顔をのぞかせるもう一人の青年は、私を見るなりこちらへゆっくりと歩み寄ってきた。
「あの、急に驚かせてしまってすみません。
手当だけでもさせていただけませんか?」
先程よりは随分と柔らかい口調だが、目は完全にこちらを捉えている。
「いえ、いいんです。」
私が少し身体の力を抜いてそう話した瞬間、青年は私の首に手刀を食らわせた。
「一晩に二回も手刀されるなんて、この子も可哀想だけど......」
「堀川ってそういうとこあるよね」
可愛い顔をして何がなんでも主導権を握る堀川を見て、敵に回したくないタイプだなとしみじみ思う加州であった。
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「おい、本当に本丸に連れて帰ってもいいのか」
大倶利伽羅が和泉守の肩に担ぎ上げられている忍びを見ながら山姥切にそう言った。
「主には既に伝達済みだ。薬研に手当してもらう。」
「まさか戦場でクノイチを拾うとはおもってなかったぜ...驚きだ。」
「僕がさっきやった手刀、兼さんよりも確実に力が強かったんだけど大丈夫だったかな...」
「堀川、加減っていうのを知ってね」
そんな会話をしながら本丸へ帰還し玄関を開くと、主から忍びを捕まえたという話を聞いた男士達が一斉に駆け込んできた。
「ほ、ほんものの忍びだ...!僕初めて見たかもー!!」
「ちょっと安定、その子怪我してんだから気をつけてよね」
鶴丸・山姥切・大倶利伽羅・堀川と別れた後、
和泉守が忍びの子を横抱きに持ち替え薬研の待つ部屋へ向かう途中髭切と膝丸とすれ違った。
「おや?見慣れない子だね」
「戦場でやられていたのか」
そう言いながら、二振は和泉守の腕の中の忍びをまじまじと見つめた。
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「よ、待ってたぜ。
手負いの女忍びってのはその娘か?」
薬研は眼鏡を着けながらそう言った。
「うん、足首を斬られてると思うんだよね、走り方が変だった。」
「相当深く斬られてるっぽいけどな」
和泉守はどこか苦い表情でそう呟いた。
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作者名:にわ | 作成日時:2020年2月7日 19時