その33 ページ5
部屋の障子を開け真っ先に目に飛び込んできたのは、
何者のものかわからない血飛沫だった。
途端に頭が真っ白になり、立ち尽くす。
「え…何が起こって…」
口からこぼれ落ちた独り言が、怖いくらいに静かな部屋に響く。
その瞬間、突然背後で誰かの足音が聞こえた。
「ッ！」
すぐに背後を確認し、部屋から出る。
「みんな、どこに行ったの…？」
ひたすら走って、灯りが付いている家屋の戸を開く
戸を開いた先には、人はいなかった。
「さっきまで人はいたはず…みんなどこに…？」
走ったせいか、それとも焦りのせいか、
額にじわじわと汗が滲む。
里に誰か残っていないか、私はひたすら走り回った。
だがその晩、誰かと出会うことはなかった。
.
翌朝、私は昨晩寝床にした馬小屋で目を覚ました。
「明るくなったし、今度こそ誰かと会えるはず」
馬小屋を出て私は再び里を走り回ったが、やはり昨晩と同じように人はいなかった。
「な…なんで、なんで誰もいないのよ…。
みんなどこに行ったの…？」
どうしようもなくなった私は、町にある私の借家へ走り出した。
.
「乱兄さん…元気、出してください…」
忍びが姿を消したという知らせを聞き、乱は部屋へ引きこもってしまっていた。
その様子を見た五虎退は、なんとか乱を励ます。
「そ、そうだ…乱兄さん、一度町へ出て見ませんか…！」
「町…？」
「はい！町には万屋にも無いようなものがたくさんあるんですよ！」
五虎退の必死の慰めに乱は微笑み、「うん、行ってみよっか」と立ち上がった。
.
「町へ…？急にどうしたんだい？」
「五虎退と一緒に行ってくる。日が暮れる前には帰るね」
一期はそれを聞いて、「わかった。気をつけて行くんだよ」と答えた。
.
町は賑わっていて、先ほどまでいた里の静かさが信じられないくらいだった。
「家に戻らなきゃ」
見慣れた町の風景など全く目に入らず、ただただ焦りながら私は走った。
その後借家に着き、私は部屋の戸を開ける。
「何も変わってることはない、か…。」
私はそう呟いた後に、
腰に下げていた刀を後ろへ向かって勢いよく振った。
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にわ(プロフ) - クンミンさん» お話ができあがり次第更新しているので、一日に何度も投稿することになっていまってます…笑 前作から読んでくださってありがとうございます！ これからも本作品をよろしくお願いします！ (2021年2月5日 23時) (
レス) id: f389216039 (このIDを非表示/違反報告)
クンミン(プロフ) - 更新回数が何度もあってワクワクしながら読ませてもらってます。続編ありがたいです。また楽しみができて嬉しいです^ ^ (2021年2月5日 21時) (レス) id: fd1b39684c (このIDを非表示/違反報告)
にわ(プロフ) - Mikomikoさん» ありがとうございます！他作品でもリクエストしてくださって嬉しかったです...！なかなかリクエストにお答えできておらず申し訳ないです...泣 本作品もお楽しみくださいね！ (2021年2月3日 21時) (レス) id: ae673d749e (このIDを非表示/違反報告)
Mikomiko - 続編おめでとうございます！こういう感じの話を待ち侘びていました……(〃ω〃) (2021年2月3日 20時) (レス) id: 4ec99752b3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：にわ | 作成日時：2021年2月2日 15時
