139話 願いの間 ページ43
『遠い昔、モンスター達には、夜空の星に願い事をする習慣があったの。心を込めて願えば、叶うと言われていたのよ。だけど、今は…いくら見上げたって、天井に光る石しか見えない…』
誰かに語りかける女性のその声は、なんだか悲しそうで、聞いているこちらも、胸が締め付けられる。
『こんなにたくさんの人がお願いしてるんだから、叶わないはずないよ!王様がちゃんと証明してくれるって!だから…ね!お姉ちゃんも早くお願い事して!』
次のエコーフラワーに触れると、今度は子供の声が聞こえた。
どうやら、姉妹の会話らしい。
願いは叶うと信じて疑うことのない、純粋で健気な子供の声を聞き、尚更切ない気持ちになった。
『…そうね!それじゃあ、お願いしましょうか。』
さっきとは打って変わって、お姉さんの声は明るい調子になっていて、私は少しホッとした。
『いつか、妹と一緒に、本物のお星様が見られますように…。』
『お星様、お願いします!』
願いの間に、姉妹の声が響き渡る。
私は、その願いを聞き、ケツイが
二人の願いを叶えるためにも、必ずモンスター達を、地上へ解放してみせる。
そうケツイを抱いた時、背後からじりじりと、にじり寄るような足音が聞こえてきた。
私達が、振り返ると──
洗濯機のような見た目をした、モンスターが現れた。
丸い顔もついており、まるで亀のようにも見えた。
中には、小さなアヒルちゃんが泳いでいる。
「えっ、可愛い!可愛い子キターッ!」
丸い顔と、中にいるアヒルちゃんが可愛らしくて、思わずテンションが上がってしまった。
「うむ!確かに、可愛いな…って言ってる場合かッ!バトルを始めるぞ!」
パッピにツッコまれつつ、分析モードに入る。
名前は、ウォッシュアか…。
うん、そのまんまの意味だな、と思った。
ATKは18で、DEFは5…ってかなり差があるな。
そして潔癖症らしく、いつか世界を丸洗いしたいという願望を持っているらしい。
私は、ツッコむ言葉が見つからなかった。
「ぴよ」
「口笛吹き吹き〜」
アヒルちゃんとウォッシュアが、同時に口を開いた。
仲良さそうで可愛いな。
きっと、アヒルちゃんは、ウォッシアュのお友達なのだろう。
微笑ましく思っていると、ウォッシュアが水攻撃を繰り出した。
あまりの可愛さに油断したぜ…!
43人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
のん猫??(プロフ) - ぽんさん» ご指摘ありがとうございます!すぐに外します! (2021年7月8日 12時) (レス) id: 0f66d036df (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:のん猫?? | 作成日時:2021年7月8日 12時