次の桜が咲く頃に。【爆豪勝己】 (ページ10)

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10話ページ10

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内心私の気持ちには私も気が付いていた。まず悪くないと思った時点で答えはもう決まっていたのだろう。それでも私は認めたくなくてついに言ってしまったのだ。

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遡るのは数分前、寮のソファで寛いでいたら爆豪くんが後ろからおい、と声をかけてきた。誰かが降りてきたのは気付いていたがまさか声を掛けられるとは思わなかったし、それがまさか爆豪くんだなんてそれこそ思いもしなかったから彼の声にビクッとしながらどうしたの、と声を発した。

「眠れねえ。」
『珍しいね、爆豪くんがこんな夜に起きてるなんて。』

どうかしたの？と何となくカウンセリングみたいな雰囲気で聞き出すと、彼は私の隣にドカッと座り込みその弾みでソファは少しｷﾞｼﾘと音を鳴らした。声は一応かけたけど彼は一向に返事をしないで隣で携帯を見つめている。

『爆豪くん…？』
「…インターンで他校の女に言い寄られてる。」

爆豪くんは何となく気まずそうに私にそう言った。
その事は数週間前のお昼休みの時緑谷くんの発言によりもう既に知っている。今更そんなことを私に言ってどうしちゃったんだろう。私は不思議に思ってじぃっと彼を見つめていたら私の左手を爆豪くんはそっと握った。

『な、なに？』

いきなりの事に戸惑い私は彼の手を振りほどこうとしたが痛くない程度に大分弱く握られてるのに中々離れてくれないその手にもう無駄だな、と諦めた。

「てめぇは、どう思う。」

彼はギュッと手を握り直しその手を下ろしてあのルビーみたいな紅い目でこちらを見つめてきたから、ｳｯと言葉が詰まる。いつもその目に恐ろしいと感じてしまい、目を逸らせなくなる。いっそその目で殺して欲しい。

「…なぁ。」

耳の奥で響くような低い声に私はこれ以上彼と居たら絶対にダメだ、好きになる、と思い言ったのだ。

『あの…迷惑だから、こういうの。』