守り神は隙が無いようでｰ参ｰ【鬼滅の刃】

佰拾.｢無限夢列車｣ ページ17

side無し







「言われたとおり切符を切って眠らせました。
どうか早く私も眠らせてください。死んだ妻と娘に合わせてください。

お願いしますお願いします…」






A達の切符を切った男は、涙を流しながら「手」に土下座をする。







「いいとも。よくやってくれたね。




お眠り。家族に会える良い夢を。」








その瞬間、男は前のめりになって倒れた。








「あの…私達は…」




「もう少したら眠りが深くなる。
それまで此処で待ってて。
勘のいい鬼狩りは、殺気や鬼の気配で目を覚ます時がある。

近づいて縄をつなぐ時も体を触らないようきをつけること。


俺は暫く先頭列車から動けない。準備が整うまで頑張ってね。幸せな夢を見るために」







「「はい…」」







虚ろな目のまだ幼げな子供達。









「どんなに強い鬼狩りだって関係ない。
人間の原動力は心だ。精神だ。


精神の核をはかいすればいいんだよ。そうすれば生きる屍だ。殺すのも簡単。




人間の心なんて皆同じ。硝子細工みたいに脆くて弱いんだから。」







・








眠り鬼・魘夢の作った縄は、繋げた者の夢の中に侵入できる特別な力を持つ。




魘夢の見せる夢は、無限には続いていない。




夢をみている者の中心に、円形となっている。




夢の外側には無意識のりもういきがあり、無意識の領域には「精神の核」が存在していて、これを破壊されると…持ち主は廃人になる。









通常、眠り鬼の術に落ちている時人間は体を動かすことが出来ない。


意識と肉体、完全に切り離された状態で夢に閉じ込められているからだ。







魘夢は細心の注意を払っていた。

術に落ちていたとしても、殺気を敏感に察知し、鬼狩りは術を破る可能性があったからだ。







だからこそ、まず人間を使って鬼狩りの精神の核を破壊した上で、肉体を殺害するつもりだった。

精神の核。失ったものは、殺される時ですら何の抵抗もなしない。







しかし煉獄は動いた。動けるはずのない術の中で。

煉獄の夢に入り込んだ娘は殺気を放っていないが、煉獄の体は本能で察知したのだ。






精神の核を破壊されたら、己が戦闘不能の状態になる。
「戦えなくなる」ということを。







現実からの圧力で苦しむ娘は動けない。



人を殺すわけには行かない煉獄もまたこれ以上動けない。




2人は今、膠着状態。

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