陸拾. ページ14
俺は強くて、誰よりも強くて…弱い人や困っている人を助けてあげられる
いつでも…じいちゃんが教えてくれたこと、俺にかけてくれた時間は、無駄じゃないんだ。
じいちゃんのおかげで強くなった俺が…沢山、人の役に立つ…夢。
でも、もう…だめだ。
「ちゅう!」
善「ちゅう…太郎。ごめんな…」
俺は気付けば、涙を流していた。
「諦めるな!」
……諦めるな。呼吸を使って少しでも毒の巡りを遅らせろ。
痛くても、苦しくても…楽な方へ逃げるな。
じいちゃんにぶっ叩かれる…
俺の視界が、ついに暗転しそうになる時
『善逸…!』
今度は、ちゃんと彼女の声が聞こえた。
善「……ごめん、ね……いつも守ってもらって…ばっかりで、守ってあげられなくて……」
うっすらと開いた瞼の隙間から見えたのは
初めて見た、Aちゃんの泣きそうな顔だった。
『善…逸……』
Aちゃんから聞こえる、「不安」とか「心配」とか、そんな気持ちの音が、全部聞こえてきた。
ああ、ごめんね。Aちゃん
結局、君を守ることが出来なかった。
***
善逸…ごめんなさい。
私が守らないといけなかったのに、こんなにあっさりやられてしまって。
もう座っていることも難しく、私は善逸の横に倒れ込んだ。
『あーぁ…最期まで、情けないな』
……死にたくない。
どうせなら、死ぬ前にあの人に会いたいな。
善逸みたいに、ひとつの技を極めてみたかった。
でも私にはそれが出来なかった。
五感が優れていても、ひとつの事を極めるってことが出来なかった。
何をしても中途半端で、結局自分の大切な人を殺してしまった。
鍛錬を重ねて強くなったつもりでいたのに。
沢山の技を使えるようになっていたのに。
だけど、やっぱり…中途半端だったのかな。
走馬灯のように、あの日のことが頭に浮かんでいた。
3年前の、ある日だった。
私には、幼馴染がいた。
それはもう、家族同然の…。
いや、私にとっては家族よりも大切だった。
だけど
「稀血の匂いがするぜぇ…?美味そうなガキだ…」
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ひかり(プロフ) - craneberry1223さん» すいません!直しておきました! (2019年10月19日 11時) (レス) id: c753592d54 (このIDを非表示/違反報告)
craneberry1223(プロフ) - 伊之助と村田のセリフ直してください。全部、伊之助になってます (2019年10月19日 10時) (レス) id: 1013b94a43 (このIDを非表示/違反報告)
ひかり(プロフ) - 桜さん» ありがとうございます!頑張ります! (2019年9月29日 1時) (レス) id: c753592d54 (このIDを非表示/違反報告)
桜 - 続きが楽しみです!頑張ってください! (2019年9月29日 1時) (レス) id: 193d98d6bf (このIDを非表示/違反報告)
ひかり(プロフ) - 吹雪咲彩さん» ふぶちゃーん!!ほんと?!ありがとう(*^^*) (2019年9月28日 12時) (レス) id: c753592d54 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ひかり | 作成日時:2019年9月23日 15時