演技派シード【究極の絆グリフォン】【劇場版】

考え方 ページ26

私と天馬は、皆のところへ戻った。


シュウがさっき最後に言った言葉を思い出す。




「強くなければ…価値はないんだ！」




私もそう思っていた。




その事を昔シュウに話した時は、それを否定も肯定もせず、ただ私を励ましてくれた。






……だけどあの時、もしかしてシュウも同じことを思っていたのかな。




そう思うと、今の私の考えに自信が持てなくなってくる。




「強くなければ価値はない」



この考えを、捨てたはずだった。




雷門の皆に助けられた時に…私の考え方は変わったはずだった。





『……なにが正しいのか…わかんないよ』





私は1人でそう呟いた。




突然目の前が暗くなる。




私の目を覆ったのは……



霧「また考え込んでるのか？」



霧野先輩の手だった。



『いや…なんでもないです』



試合が迫ってきているんだから、余計な心配や面倒はかけたくない。



私はニコッと笑ったが、霧野先輩に両頬をつねられた。




『…？！』



霧「…また1人で抱え込もうとしてる。この前言ったよな？1人で抱え込むなって……。だからさ、少しでも気が楽になるなら話してくれないか？」


霧野先輩はそういって微笑んだ。




『……私、自分の考えが本当に正しいのかで分からないんです。』



霧「考え…？」



『…はい。私は前まで、「強くなければ価値はない」って考え方でした。

でも、雷門の皆さんに助けられて、わたしの考えは変わりました。

そして今は、皆と本当のサッカーを取り戻そうとしています。

でも…結局はそのサッカーを取り戻すのにも強さは必ずいる。
楽しくばかりしているんじゃ、ほんとうに大切なものは…守れない。』




私はユニフォームの裾をきゅっと握った。




『だから…結局は強さがなければ価値はないんじゃないかって……。
すいません。少し迷ってしまいました』



私は「ははっ…」と少し笑って誤魔化した。



霧「…強さは必要。それは確かにそうだ。
松風みたいなことを言うかもしれないが…

俺は、その強くなるためには、まずその物事を楽しむ必要があると思うんだ。

だって…本当に楽しくないものや、興味が無いものにはそこまで強くなろうとは思わないだろ？」



霧野先輩は、少し考えるようにしていった。



霧「俺自身も…何が言いたいのか分からない。

だけど、正解とか…この考えが正しいとかはないと思う。」

迷い→←生贄

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す