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生贄 ページ25

次の日の特訓で、私と天馬は、壁を登りきった。





『なんか…この特訓きついかも』



シ「はは…少し腕力もいるからね」



腕力…脚力には自信はあるけど、腕力の自身はあまりない。



…また新たな弱点だ。



天「つっかれたー!!」



私達は、最初の方に見たお地蔵様の話や、サッカーの話をした。



シ「…君達があの時代にいれば、違ったのかな」



『ん?』



シュウが何かを言ったが聞き取れず、聞き返した。




シ「…この島には、君達の世界とは少し違う風習があったんだ。

ある干ばつの年…神への生贄を誰にするか、こいつで決めていたんだ。」



シュウはそういって、抱えていたサッカーボールを見つめた。



シ「負けた方に属する少女を生贄にする…。それがルールだった。片方の少女には…兄がいた。
彼はどうしても妹を守りたかった。
だから対戦相手に、こちら側が有利な試合になるようにと頼んだんだ。
こっそりお礼を渡してね。」




…なんだか、今のサッカーと似ている。



そう思ったのは天馬も同じのようで、少し暗い顔をしている。



シ「…彼は、勝負をお金で買ったんだよ。
でも…それが村の人にバレてしまった」



天「…妹はどうなったの?」



シ「…生贄にされた。彼は自分の妹を守ることができなかったんだ。
勝てると確信できる力と、戦う勇気さえあれば…あんなことはしなかっただろうに。」


天「…なんか、今のサッカー界みたいだ。」


シ「この島は…呪われているのかもしれない。サッカーにね」



そういったシュウの顔は見たことないくらい一瞬険しくなった。




天「…シュウ、サッカーは人を呪ったりしないよ」



シ「…するさ。いや、もう手遅れなんだ。
サッカーが強くないと…大切なものも守れない。だから強いことこそが重要なんだ」



…私の心臓は、ドクンと大きく音が鳴った。



…私も、そう思っていた。「強くなければなんの意味も価値もない」そう思っていた私をあの時慰めてくれたのは…シュウだった。



だけど今、その話をしているのはシュウだった。


天「そうなのかな…俺、思ったんだ。さっき言っていた村の人も、楽しいサッカーがやれれば良かったのにって」



シ「強くなければ…価値はないんだ!」



シュウがボールを蹴り上げ、そのボールに目を取られているうちに…シュウの姿は消えていた。

考え方→←記憶



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4月生まれなのに雛人形 - ひかりさん» 僕も白竜好き♪wwwあれ?似たような会話をした気がするwww (2019年4月28日 15時) (レス) id: e95920caaa (このIDを非表示/違反報告)
ひかり(プロフ) - 4月生まれなのに雛人形さん» 私白竜好きなんですよねwww (2019年4月28日 12時) (レス) id: c753592d54 (このIDを非表示/違反報告)
4月生まれなのに雛人形 - 白竜、ちょっと可愛い。面白いしwww (2019年4月28日 12時) (レス) id: e95920caaa (このIDを非表示/違反報告)
ひかり(プロフ) - 神童シュウさん» そうかな〜?面白いと思ってもらえてたら安心したよ〜! (2019年4月28日 10時) (レス) id: c753592d54 (このIDを非表示/違反報告)
神童シュウ - そっちのほうが面白いよ!! (2019年4月28日 9時) (レス) id: 11e18eea93 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ひかり | 作成日時:2019年4月25日 18時

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