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その後も太一さんに赤葦さんのイケメンさを伝えてあきれられたけど気にしない。
イケメンなのが悪い。
それからもお兄ちゃんのとこへ行ったりしたけど、赤葦さんに会うこともなく。
今私は赤葦ロスなのだ。
お兄ちゃんの家に行ってもあのスニーカーは無い。
『ねえ赤葦さんは!?』
「もうすぐ締切だから来ると思うけど、なんで?」
『別に何もない!!!!』
「まあ赤葦さんイケメンだもんね」
『ほんっとに!!!』
めっちゃ好きじゃん、と言われ何も返せなくなる。
でも本当はというと、これが恋なのかはわからない。
今まで付き合ったこともあるけれど、本当に好きなのかはわからなくて告白されてもいつも「俺のこと好きじゃないでしょ」と振られた。
元カレもみんな嫌いなわけじゃなかったし、一緒にいるのも楽しかったけど、…キスとかをするのは結構勇気がいる。
『赤葦さんは好きっていうか推しなんだよねえ』
「ああ、そういう感じね。まあ迷惑かけんなよ?」
『うん、わかってるよ』
推しという言葉には結構しっくりきた。
インターホンが鳴り、お兄ちゃんが玄関に行った。
ソファに座り携帯をいじりながら赤葦さんのことを考える。
『–––––推し、か。うん、推しだ』
推しじゃなくなったら、ということを考えてしまう自分がいることを知っている。
でも立場も全く違うし、赤葦さんにとったら私の存在はいてもいなくても変わらないもので。
推しという枠に閉じ込めておかないと自分が自分じゃなくなる。
「––––––––––何が?」
『えっ!赤葦さん!?!?』
急に話しかけられたと思ったらソファの近くに赤葦さんの姿が。
「推しって何?」
『あ、えと、この人です!!』
たまたまアプリの広告に出ていたスポーツ選手。
確か、木兎選手だった気がする。
一回テレビで試合を見たことがあり、元気な人だなあという印象。
「へえ、こういうのがタイプなんだ?」
『いえ別にそんなんじゃないですけど!』
一瞬赤葦さんの顔が曇ったように見えたけどすぐにいつもの表情に戻り、「じゃあ宇内さんのとこ行くね」と行ってしまった。
–––––木兎選手のこと調べようかな、とまたスマホに目を移した。
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作者名:池田 | 作成日時:2020年4月23日 19時