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午前中に大学で授業を受け、その足でお兄ちゃんの家へと向かった。
途中スーパーによると鮪の刺身が安かったから今日は漬け丼だな、と考える。
というか何かを考えないと赤葦さんのことばかり考えてしまう。
なんだこれ。
お兄ちゃんの家のドアを開けると、玄関には赤葦さんの靴があった。
『………がんばろう』
*****
作業部屋のドアをノックする。
『あの、赤葦さん今日は食べますか…？』
「うんもらおうかな」
よっしゃ、と心の中でガッツポーズ。
今日は普通に話してくれそう。
そして漬け丼を出すとお兄ちゃんと赤葦さんは凄い勢いで食べてくれた。
久しぶりに見た、赤葦さんの食べるところ。
後片付けも済んで、お兄ちゃんは仕事をしに戻った。
『あああ、赤葦さん！』
「…ん？何？」
–––––––目が、合わない。
『好きです！！！』
口をポカンと開け私の方を見る赤葦さん。
あれ？私土曜日一緒に行きませんかって言おうとしなかった？好きです？すきです？スキデス？
………大変なことを発してしまったのではないか。
『あっ、あの、えと、違います！あ、違うっていうのは好きじゃないとかじゃなくて、あああえっと、その、言い間違いといいますか、』
「ぶっ…アハハハッ！！」
『へ？』
めちゃくちゃ大きな口を開けて笑う赤葦さん。
「あははっ、やべ、お腹いた、っ…おもしれぇ…」
『ああああの！！！！！』
「ん？……ふっ」
まだ笑ってる。
『土曜日、一緒に、えっと………て、笑いすぎです！！！！』
「うん、行こうか。アハハハハッ…やばいね、面白すぎる」
まだ全部言ってないのに見透かされてたみたいだ。
よし、これで私の先程の発言は忘れてくれたよね、うん。てか忘れて。
好きなんて今言うつもりじゃなかったんだから。
『じゃあ！そういうことで！お仕事戻って下さい！！』
「何言ってるの、こっちきて」
『え？』
「–––––––俺のこと、好きなんでしょ」
ニヤリ、と口角を上げる顔が破壊力抜群で、私の心臓が飛び出そう。
「先に言われちゃったなあ、…俺も、好きだよ」
『–––––––へ？？』
そしてあの時のように、ギュッと抱き締められる。
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作者名：池田
| 作成日時：2020年4月23日 19時
