16 ページ16
.
あれから、赤葦さんとは会話という会話をしていない。
お兄ちゃんのところへ行っても、ご飯はいらないと言われるし、掃除もしなくていいと言われるじまいだ。
" 「––––––…ごめんね」 "
あのときの赤葦さんは、一体何を考えていたのか。
抱き締められて、ドキドキした。
でも、赤葦さんの顔はどこか辛そうで、何かを我慢しているような顔で。
顔は火照ってはいたけれど、お酒のせいかもしれないから、照れていたのかはわからない。
––––仮にも、私のことを好きだという表情には見えなかったのだ。
本気じゃなくて" ごめんね "、ってこと?
『…そっか、そりゃそうか』
––––––だって私は、宇内天満の妹だから。
『––––…調子乗って、馬鹿みたい』
「…………お前どうした?」
『えっ、』
そういえば太一さんと呑んでたんだった。
愚痴聞いてもらおうかな、いや愚痴っていうか自分の勘違いなだけなんだけど。
「そーいえば、梟谷が載ってる月バリ持ってきたぞ」
『下さい』
「まあ俺はもういらねえからな、ん」
と、梟谷の特集ページたるものを開いて見せてくれた。
デカデカと今とあまり変わりはしない木兎さんの姿。
そこには、赤葦さんとのセットアップの写真もあった。
今より少し幼くて、バレーが好きだ!楽しい!って顔してて、でも今と変わらない笑顔で。
『ユニフォーム姿、くそくそくそくそかっけえじゃん、何なの、もう、っ…』
「は!?何で泣くんだ!?そんなに赤葦見たかったのかよ!」
見当違いにも程があるがここはスルーして。
何で涙が出たのかはわからないけど、赤葦さんとこのまま中途半端に話せなくなる関係になるのは嫌だ。
きっぱり好きって言ってきっぱりフラれよう。
『決めました、宇内A!』
「ん?おお、」
『赤葦さんに告白します!!!』
「は、え、なんでそーなった!?!?」
そして詳しく太一さんに説明するのであった。
.
239人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「ハイキュー」関連の作品
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:池田 | 作成日時:2020年4月23日 19時