17 ページ17
【日向side】
「あーーーーもう！」
影山達と久しぶりに会ったのは楽しかったし嬉しかった。
でもやっぱり気にかかるのは伊藤と北さんのこと。
壁にバレーボールを打ちながら二人のことを考えていた。
《バン、バン…》
音が大きくなる。イライラして力が強くなっているせいだ。
(今頃、二人は俺の隣にいるかも)
とか良からぬ妄想もしてしまい余計にイライラ。
隣の部屋が好きな人というのはこういうときに辛いと人生で初めて痛感した。
…そういえば、この前好きな人がいるか聞いたとき。
伊藤の顔は耳まで真っ赤だった。
––––––––––北さんってことか。
好きな奴が俺だったら、とか思ってたけど。
今日の二人の様子を見たら恋人が喧嘩した、という風にしか見えなかったし。
モヤモヤしながら壁打ちをする。
するとインターホンが鳴った。
「はーい…」
開けると、
「すまんな、こんな夜遅くに」
タイミングバッチリかよこの人、北さん。
「とりあえず中どうぞ」
「すまん」
おそらく伊藤を家まで送ったあとであろう。
「さっき、居酒屋におったよな。勘違いさせたらあかん思うて」
「勘違いも何もしてないですよ」
「しとるで。俺と伊藤は恋仲じゃないし、お互い好き合ってない。俺はあいつのこと可愛い後輩としか思うてへん」
そう言う北さんは嘘をついているような顔ではなかった。
「ならなんで居酒屋にきたんスか」
「昼に怒ってしまってな。そんで夜までいじけとったから勘であの店ちゃうかなって」
「そっすか」
「嫉妬、しとんのか？」
「––––––––え？」
「伊藤のこと好きなんやろ」
この人に隠し事はできないと悟った。
「はい。好きっス」
「ほうか。それが聞けたら充分や。早いとこ自分のもんにせんと、あいつ隣の部屋からおらんくなるで」
「え？」
「転勤や、名古屋にな」
–––––––転勤。
俺には関係のないことだけど、会社員の伊藤はそうではない。
「まじ、すか」
「じゃあそういうことやから。お邪魔しました」
「––––––––北さん！」
「なんや」
「ありがとうございました！！」
そして笑って家から出て行った。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 479人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「ハイキュー」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ねこみや(プロフ) - めちゃめちゃ面白かったですありがとうございます尊い、、😭 (7月28日 7時) (
レス) @page22 id: 3ca32de087 (このIDを非表示/違反報告)
なみぎし(プロフ) - 待って…？私おうちの部屋番号314号室…つまり日向と同居？？？？(因みに姉の名前がひなたです) (2021年10月2日 4時) (レス) id: 13ff8af5fc (このIDを非表示/違反報告)
池田(プロフ) - さくらもちさん» ありがとうございます！！！（笑） (2020年4月23日 20時) (レス) id: 3d7dfa9c4b (このIDを非表示/違反報告)
さくらもち - 翔陽…！よかったなぁ！面白かったです！笑笑 (2020年4月23日 20時) (レス) id: c2e5a10dd5 (このIDを非表示/違反報告)
池田(プロフ) - 柊さん» そう言ってもらえて本当に嬉しいです！ありがとうございます！ (2020年4月22日 23時) (レス) id: 7362264056 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：池田
| 作成日時：2020年3月31日 22時
