下手くそ ページ8
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東京合宿が始まり、音駒や梟谷などの関東の強豪が集まっていた。
…………おお！孤爪さんいる！
だるそうな顔で休憩中の孤爪さん。
他にも、あの木兎選手までいてびっくりした。
そうだ、梟谷だった。
高校生の時からああいうスタイルなんだ、とちょっと笑えた。
「樋山さんって、たまに遠くを見て笑うよな？」
『………えっ』
補習から戻ってきた翔陽に、不意に言われた。
「今も梟谷の方見て笑ってたし…」
『プ、プレーがすごいなあってさ！あはは！』
演技下手くそで泣けてくる。
それでも翔陽は純粋なので私の下手くそな演技にも確かにすげえ！と梟谷の方に行く。
「樋山さんも、一緒に見よう！」
私の腕を掴んで。
" Aも一緒に行こう！ "
一人で落ち込んで体育館に夜遅くまで残っていた時に、今日は星が綺麗だから丘まで見に行こうと誘ってくれたのは翔陽だった。
そのときもこういう風に私の左手首を優しく掴み、小走りで連れ出してくれた。
やっぱり翔陽は翔陽だ。
「かっけえなあ、エース」
『………日向くんも、かっこいいよ。最強の囮じゃん』
「でもまだ、勝てない……」
『影山くんだけの力じゃそりゃあ勝てないよ。日向くんの力も使わなきゃ』
「…………そうか、そうだよな」
翔陽と見る木兎さんは、かっこよかった。
でもそれより、隣にいるこの人の方が私にはかっこよく見えて、年は違うのにまた翔陽に恋をしていた。
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作者名：池田
| 作成日時：2020年7月3日 12時
