【HQ】排球部の影山くん。【影山飛雄】

24 ページ25

.



ついに土曜日。
影山くんを生で見るのは高校を卒業してから初めてのことだった。
連絡も取り合っていなかったから、影山くんが有名なバレーボール選手としてインターネットの記事に取り上げられているのを見てテレビやネットで試合の映像を観るようになった。


東京の体育館や海外が会場となっていたから、資格の勉強や仕事もあり会場に行くことはできなかった。


テレビで観れるだけでも文明開化ありがとうと昔の人に言いたい気分だったし。



高校の時の私とは違う。大人になった。



夢を追いかけることにまっすぐな影山くんとは違い、夢を叶えたけど仕事はうまくいかないことが多く毎日しんどかった。


キラキラと輝く姿は自分とは対照的。羨ましいし憎たらしい。
でも彼が一生懸命なことはずっと前から知っているからなんとも言えない。

手の届かないプロの選手。

試合会場も"影山飛雄"のうちわを持つ可愛い女の子達でいっぱいだ。

ずっと放っておかれた女の気持ち分かってる？


影山くんの"Aとずっと一緒に居たい。何年かかるかわからないけど、それまでは友達として俺らのこと応援しろよな"っていう台詞を忘れたことはない。


友達として応援しろっていう割に、試合の予定も何も知らせてくれなかったし、急に連絡きたと思ったら谷地さんに聞いたとかなんとか。

そりゃ排球部のマネージャーの仁花ちゃんだったら影山くんの連絡先ぐらいわかると思うけどさ！


––––––––好きじゃなくなったのかな、なんて最悪のことを思う。


単なる嫉妬。それはわかってる。


でも女は一番に連絡してほしい生き物じゃん。

それを影山くんがわかってるかは知らないケド。



コートに入場する影山くんを見ると余計に自分の存在が無くても良いものだと思えてくる。


今日影山くんと何も無かったら、もう諦めて新しい恋をしよう。

長年の恋に決着を、つける。

25→←23

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す