【ツイステ】オクタヴィネルの元寮長

Episode26 人喰い悪魔 ページ27

・



『うっ…………』




っ、腹が痛てぇ。それに、頭も。


手足が自由に動かせないのは縛られてるからか？



いや……………



これは──────────





「目覚めたな」





俺と一緒に部屋の中にいたのは1人の傭兵みたいなごっつい男。見るからに強そうだ。


肉弾戦じゃ勝てるわけねェ。


ナイフを丁寧に研いでる。そのナイフは、鏡みたいに光を大きく反射させてた。





『誰だテメェは』



「……知らないのも無理ない。会ったことなんてないからな。でも俺は、お前のことをよく知ってる」





低い声で冷静に話しながらも、ナイフを研ぐのを止めない様子は不気味すぎる。


ここがどこかも分からない。
無数の扉の、どれから出れば外へ逃げられるのかだって分からない。


だから、コイツと話をして情報を引き出すしかないんだ。そしてあわよくば交渉する。





『俺を知ってるって？じゃあ、聞かせてもらうけどな。俺にどんな利用価値がある』



「利用価値？自分のした事を知らないのか」



『知らねェよ。他の寮長共の差し金か？悪いけど、俺はハーツラビュルの決闘には手を出してねェぞ』



「………………フッ、ハハハハ。ハッハッ！！！」



『………………は、何笑ってんだ？』





コイツが笑ってる理由が分かんねェ。

俺は事実を言ったまでだ。何を面白がって、、





『ッ、ア"ッッッツ!!!!!』





ジュワアァアアア


肉の焼け焦げる匂い。俺の足が、火に炙られたのに驚いて人魚の尾ヒレに戻っていった。





『ッ…、テメェ"！！』



「ハハハ、アハハハ。あぁ………なんて可哀想だ」



『(ゾワッ)』





目を細めて満面の笑みを浮かべたコイツは、俺の火傷した部分を強く掴んだ。

血がジワジワと滲み出して激しい痛みを感じる。





「可哀想だ。可哀想だ。オレの兄弟！！！俺のカワイイ弟は、こんな人魚に殺されたのか！！？」





オレの、兄弟？



カワイイ、弟？




そういえばコイツの口の中に、見たことのあるような牙が見える。

真っ黒でつぶらな瞳は、光を受けると鈍く光る。





あぁ──────────




そういうことかよ、コイツは








俺に復讐しに来たのかよ






"弟"="エリ"の復讐を始める気だ








「兄ちゃんが殺してあげよう！お前を無惨に殺したこの悪魔を、俺が食い殺してやろう！！」



『………………………』

Episode27 "No worried"→←Episode25 "Prince"

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す